ファンキー獣道 in Jeju , Korea

【2015/11/15】

 

11月14日

 

7時半頃 目が覚める。

8時過ぎ、モビー氏と朝食を食べに近くの市場へ。

市場と言えば朝が早い、というわけでもないらしく、

どの店もまだ準備を始めたばかりといった状況。

活況な市場の風景、とは程遠い。

ただ店先に並べ始められているブツを眺めていれば、

自然とこの辺りの名産品が見えてくるもの。

 

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キムチ類はもちろんのこと、

やたらと仰々しく並べられた大中小のみかん、

昨晩食べたサバ等の魚介類、なかでも太刀魚はゆうに1メートルはあろうかという巨大な、先祖代々受け継がれてきた名刀のような神々しい輝きを放った個体がズラリと並べられていて壮観。

 

ところが思いがけず飲食店が見当たらない。

あっちかなこっちかな、

としばらく歩き回っているうちにそれらしいお店を一軒発見。

 

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一切外からは何が食べられるのかわからなかったがひとまず入店。

先客は、6人程でテーブルを囲む一家と、3人連れのおじさんたち。

店内のメニューを見るとちゃんと日本語表記あり。助かります。

ド定番らしい豚の腸詰めクッパを頼む。

すぐに例によってお通しの盛り合わせが到着。

 

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今回はアミエビの塩辛のようなものが強烈であり、しょっぱかった。

奥のおじさま方が頼んだらしいクッパがグツグツと鍋の中で煮えたぎりながら運ばれていく。土着な風土の香りがする。期待が高まる。

隣の一家は大皿に乗った焼き魚を静かにつっつきながら

皆が思い思いの感情を持って食事を済ませているといった塩梅であった。

韓国は料理が出てくるのが早い。待たせない。

というわけで、クッパ登場。

 

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豚骨の白濁したスープが器の底から湧き出るように沸いている。

上にこれでもかとまぶされているのは大量のゴマと唐辛子。

一口食べてみると濃厚な豚骨の旨みが口の中いっぱいに…

といきたいところだがアツアツなのでなるべく口の中いっぱいに広がらないようにして食べる。

濃厚なわりに塩気が足りない。少しずつ塩を足していくとよりおいしくなった。

スプーンで煮えたぎるスープをヨシヨシとなだめるようにして混ぜてみると中には大量のホルモン(臓物と言った方がより雰囲気が伝わる)と赤褐色をした豚の腸詰め。

この腸詰めが英語では”Korean Blood Sausage”と呼ぶらしく

いかにも血なまぐさいというか、「豚でした」という豚の全要素を練り込んであるといった感じでブヒブヒと押しが強い。

一頭の豚が溶け切るまで煮込んだらこの一皿になったといった感じのクッパをこのまま食べ続けていたら『千と千尋の神隠し』のご両親のようにでっかい豚になってしまうのではないかとドキリとして前を見たら、そこには豚ではなくアフロヘアーのモビー氏がいたので一安心した。

二人は人間のままの姿で豚のようにクッパにがっついていた。

 

部屋に戻って両者無言のまま思い思いに時を過ごす。

豚のようにゴロゴロしていたらいつの間にか集合時間に。

とはいえ、集合してまずすることは皆で昼食を食べに行くこと。

いよいよ豚街道まっしぐらである。

韓国は噂に違わず皆運転が日本よりアグレッシブ。

車間距離も近いし、方々からクラクションが鳴る。

車に揺られているところをブーブーとクラクションを鳴らされると

今朝市場で見た豚足の画を思い出してふと自分の手を見たら、

まだベースを弾けそうな指が5本あったのでこれまた一安心した。

そうこうしているうちに車は目的の店に到着。

今度は豚ではなく鶏だそうだ。

酉年生まれの血が騒ぐ。

 

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席に着くや C君がササッと料理をオーダー。

メニューはもう決まっている。

まずはハイ来ました、キムチその他のお通し盛り。カムサハムニダ。

それに加えて、塩と平皿が2枚。

そこへグツグツと登場したのがサムゲタン。おいしそう。

 

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アッツアツなので平皿に移しながら食べるようだ。

サムゲタン。

「高麗人参」と「鶏」と「スープ」で参鶏湯だということ。

 

鶏自身も自分が骨の髄まで煮込まれることでここまでおいしくなれるとは

生きている間はユメ思わなかったであろう。

柔らかく煮込まれ、スープにされるためだけの一生であったとしても

こうしておいしく食べてくれる人間がいてくれたのであれば

それはそれで報われると言うものではないだろうか。

まさにこれ、一生を賭した天賦の才。(超一方的解釈)

これまたこの濃厚なスープを飲み続けていたら

やがて腕はヒョロヒョロになって掌はモミジのように細長くなり

首を上下に振ってリズムを取るように動き回るしかない鶏のようになってしまうのではないかと心配になったが、

それはそれで今の自分の姿とさほど変わりはないので

気を取り直して思う存分熱いスープをすすり続けた。

 

ライブハウスへ。

チェジュの中でも繁華街らしい一角にある「GET SPACE」が今晩の会場。

地下への階段を下りるとアラ素敵。

そこは日本と変わらぬ、イヤそれ以上に清潔な雰囲気のライブハウス。

規模も300人キャパ程のゆとりある広さでステージの高さもちょうど良い。

照明もLEDでさぁキラメキますよ、照らしますよとやる気に満ちあふれている感じが伝わってくる。

 

リハーサル。

音も特に問題なし。

それどころかやはり電圧の違いなのか、

音が普段以上にイキイキとしているようにも感じる。

ドラムがパーテーションで仕切られているところが新鮮。

この感じ、ついチョナンカンさんばりに『僕らの音楽』と言いたくなる(?)

 

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他の出演者さんたちにも

アンニョンハセヨ~チャルフタッカムニダ~とご挨拶。

物販の準備等も終え、一旦ホテルへ戻る。

 

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集合時間の少し前に、せっかくなのでともう一度市場をフラリ。

すると朝とはうってかわって大盛況。活気がある。

これぞ市場。来て良かった。

 

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陳列されている品々も「朝はまだスッピンだったのよ」と言いたげに

見違えるような色つやを存分に発揮してどれも魅力的に見えた。

太刀魚はもう見ているだけでスッパとこちらが切れてしまいそうだった。

魚の干物も瑞々しく干上がっていた。

カニは潔く腹カッ捌いて、

まっぷたつになってオレンジ色のハラワタを自慢げに見せつけた。

 

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湯気の立ち上っている場所は肉屋。

今まさに腸詰めが蒸し上がり(布のようなものを巻いて蒸していたように見えた)

豚足やら何やらとともにそれらを買い求める客が群がっていた。

 

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ネギやニラ、白菜、サンチュ、エゴマといった青菜類の緑が目に優しい。

ぶっとい大根はキレイに皮が剥かれていて完璧なる美白に。

唐辛子の山は干涸びた中にもその内奥に今なお生命の炎を燃やしているようだった。

ツヤッとした赤色の肌と沈み込むような影との陰影が、何か崇高な仏像を眺めているような凛とした気持ちにさせないでもない。

気持ちが研ぎ澄まされていくようだ。

 

そんな気持ちのまま再びライブハウスへ。

はあはあ…なんだかとてつもなく長くなってしまった。

ここらでちょいと息継ぎのため、今日はこの辺でお開き。

 

ファンキー獣道 in KOREA、まだまだ続きます。

 

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