韓国のハマ・オカモト君

【2015/11/21】

11月20日 23時

 

明日の広島に備え、本日は大阪泊。

初めて泊まる江坂という場所が大阪のどこら辺なのかよくわからない。

韓国にも中国にもありそうな地名だ。

そのせいか(そのせいではないでしょうが)

ホテルには海外からの旅行者ばかりと見える。

 

TOUR「Funk-a-lismo! EXTRA」が

一昨日の横浜公演からスタート。

始まったばかりなのでライブの細かな話に関しては

ここでは多くを語りますまい。

晩秋の夜に心地よく人間辞められるセットリスト、

とでも言うべきか。

明日広島はどうなるか。福岡はどう出るかな。

楽しみは尽きない。

 

横浜公演の際に、新たに告知された情報。

来年4/23(土) 横浜CLUB LIZARDにてツアーvol.10公演決定。

そして、12/9(水)青山月見ル君思フにて、先日共演した

韓国のSULTAN OF THE DISCOとの2マンライブ実現!

やった!

ということで、SULTANのプロモーションも兼ね、

韓国ソウル最終日のお話。毎度長くてすみませんが。

 

 

11月16日  曇り

 

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チェックアウトの時間にホテルまで車で迎えに来てくれたのは、

スルタンのベーシストG(ジー)君。

昨晩の打ち上げ時に彼の日本語力も存分に発揮されてすっかり仲良くなった韓国の若者。

そのルックスとベースの弾きっぷりから、

私は彼を勝手に「韓国のハマ・オカモト」君と名付けたのであった。

 

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そして彼はバンドのメンバーも認める名ドライバーだという。

そんな彼の安定の日本語力と運転技術が

この日一日のソウルでの時間を申し分なく快適なものにしてくれたことに

まず最大級の感謝の意を。

ハマ君、否ジー君。ホントにどうもありがとう。

 

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彼がまず連れて行ってくれたのが、ピョンヤン式冷麺の名店だという「乙密䑓」。

例によってまずキムチ類のお通しが山盛りで運ばれてくる。

しかもここのキムチは葉を切らずに丸の状態のままでゴロッと出てくる。

大きなハサミを使ってジー君が慣れた手つきで切り分けてくれた。

キムチを一口食べて皆「お!」と顔を見合わせ、うまい!

サカナ成分が一際効いたキムチは、オッさん成分が濃くなってきたFUNKY4の味覚にフィットしたらしく、おかわりの皿もザクザクと切り分けるジー君はなかなかに得意げであった。

ヤカンの中身をお茶だと思って湯のみに注ぐと薄く白濁したスープ。

牛骨スープのような感じ。

これもおいしかった。

緑豆のチヂミ。もちろんおいしい。

そして冷麺。

 

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韓国で食べたどの料理にも感じたことだが、一口目に味が把握できない。

あれ?ってなことになる。

思っていたところまで味が届いて来ない。

向こうも探り探りこちらの嗜好をうかがいながら、さてこの人の味覚配列だとワタクシはどこに座るのがベストかな、と戦略を練って迫ってくるような懐の深さを感じる。強烈なインパクトのわりに案外奥ゆかしい。

見た目の色合いは殺風景であったが、なんのなんの、食べ進めるに連れて周りの音が遠のいて行くような陶酔があった。

結局なんの味なのかよくわからなかったが、おいしかった。

 

続いて楽器屋。

ソウル中のあらゆる楽器が一同に集う楽園があるという。

巧みに車を走らせながら、ジー君はここは何々であれが何たら門です、みたいなことを丁寧に説明してくれる。

ソウル駅を通過し、もうしばらく行くと楽園。

デパートというのか、高速バスターミナルのような建物の二階と三階に、ズラリと様々な種類の楽器を扱う大小のお店が並んでいる。

おぉ!と興奮しながらひとしきり物色。

レトロなメトロノームがあって、わぁ、これ実物は初めて見たなぁいくらっすか?ハウマッチ

?と尋ねると意外に高くて意気消沈した自分の不甲斐なさよ。

それでも楽しく見学した。

そのままイサンドンの街を散策、しかし雨が降ってきたので、じゃうちの近所のローカルな市場へ行ってみましょう、というジー君の提案に乗る。

 

途中、あ、と思い出したようにジー君。

レコ屋ありますけど…

 

キラーンと目を輝かせたFUNKY4。

それそれ!行こう行こう!

と2軒をハシゴ。

2軒目の店は中古レコードの品揃えがソウル一というだけあって足の踏み場もないくらいにレコードが所狭しと並べられている。

ホリホリとレコード棚を掘り進めていくと、

あれ?半分以上のレコードに値段が付いていない。

あのー…と店員さんに尋ねると、値段シールの貼られていないものはその場でオーナーさんにメールでおうかがいを立て、数分後に返信が来てその価格に納得がいけばご購入いただくというシステムを当店は採用しているニダとのこと。

ほほう、なかなかに運試し的な要素も強い。楽しそう!

ということでFUNKY3がそれぞれ発掘したブツを持ち寄り、レッツおうかがい。

(この時点で私はあえなく脱落している点、ご了承ください)

 

数分待って来ましたドン!

うわ~そうか~とか、まぁ妥当かな~とか、おぉよしよしとか、

それぞれリアクションありながらも結局みんな買っていた。

(ほんと皆さんお好きですねぇ)

3人ともホクホクとご満悦な表情で店を後にした。

 

あるあると思っていた時間も、気がつけばだんだんとなくなってきた。

じゃあ次は市場へ。

 

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ということで向かった先は「望遠」というとこの市場。

観光向けではない市民のマーケットということで、

全体的にホンワカとしたまろやかな空気感。

うわ~いいな~こういうとこ大好きなんよ~

といきなりテンション上がった(らしい)私を見てジー君が一言、

 

「やっと ジョーさん こころから わらって くれましたね」

 

気恥ずかしさと申し訳なさと心強さと。

(楽器屋もレコ屋やも楽しかったんだけとねぇ、なんかすみません)

 

そんなデキル男ジー君、キムチならココ、海苔ならココ、揚げ物ならココなんです、と贔屓の店を案内してくれる。

昼の冷麺でお腹いっぱいのはずが、市場の活気に釣られて、

なんか腹減ってきたな~と我らが腹減り隊長モビー氏が言い始めると

今回ばかりはなんかそんな気がしてくる。

ジー君オススメの串揚げと海苔巻きを軽くシェアして食べる。イケる。

ここも安いんです、と何やら麺の店。

刀削麺だという。3000ウォンで一人前。二人前をこれまたシェアする。

 

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彼らは日本から来てるのです、

とおそらくジー君が店員さんに話したのを聞いていたのだろう、

隣の席で一人黙々と麺をすすっていたおじさんが

ペチャクチャと店員に何か注文するとまた無心に麺をすすり始める。

何かと思えば、「コイツラにオレから一杯ご馳走させてくれ」ということらしく、あらまカムサハムニダとお礼を述べても、彼はこちらを見向きもせずに手だけ振って店を後にした。というわけで二皿平らげた後にガッツのあるもう一皿が届けられ、すでに満腹感否めなかったが四人はありがたくそいつにガッツいた。

隣国の友情の味がした。マシソヨでした。

 

16時半にスルタンの事務所でドライバー交代。

ジー君おつかれさま、12月また日本でね、そしてラストランをC君よろしく。

 

金浦空港にはお世話になった日本人スタッフYさんもお見送りにいらして、それではみなさんサヨウナラ。また必ず来るよ、と再会を誓う。

 

充実の韓国3泊4日の旅。

そんな旅路を支えてくれたスルタンの皆さんが急遽来月来日決定!

絶品の韓流ファンク。

是非観て聴いて触れて頂きたく。

ジャパニーズ・ファンキー大使館スクービードゥーが

自信を持ってオススメするファンキー日韓交流戦。

 

12/9(水)は東京青山月見ル君想フに大集合でお願いします!

 

 

アフィルグ in Seoul , Korea

【2015/11/18】

 

15日  晴れ

 

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朝7時半にロビー集合。

C君の運転でチェジュ空港へ。

今回はイースタージェットという航空会社で金浦へ飛ぶ。

10時ちょうど発の便。

荷物を預け、朝食は同行しているC君の会社の社長さん(以下、社長さんと呼ぶ)オススメのウニのスープ、「福」と書かれた器に入ったご飯とともに。

 

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ワカメたっぷりウニ少なめのあっさり味で疲れた胃に優しい食事をいただいた。

ここでしかし、社長さん苦笑い。

飛行機が40分程遅れるという。

まぁまぁそれくらいは、とまだ皆んな余裕の表情。

手荷物検査を終え、各々搭乗口周辺でコーヒーをすすったりして時間を潰していると、若干慌て気味の日本人スタッフYさんが、使用機がまだ金浦を飛び立ってすらいないという情報を仕入れたらしく、案内ボードを見たらオヤオヤ、出発時間が12時半に。それすらも怪しい、と韓国事情に通じたYさんは電話を掛けたりで忙しそう。

ひょえ~と思いながらも突如懐へ飛び込んで来た時間を使ってブログを書いたり。

 

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まぁ最悪ライブの時間までには着くだろう、と写真をまとめたり何なりしているうちに無事搭乗の時間。結局2時間45分くらい遅れたのかな。

ホテルを出てから7時間かけてようやく金浦空港へと辿り着いた。

スタッフの出迎えを受け、車でライブハウスへ。

昼食もホテルへのチェックインもあったもんじゃない、一目散に車を走らせる。

 

ソウルの街はやはり大都会。

そもそもソウルに行くよりも先にチェジュに行き、しかもライブまでやってるなんて輩はなかなかいないであろうとこの時初めて気が付いた。

さすが獣道の申し子。

ファンキーの神が付いている。

ライブハウスのあるホンデ地区は若者たちが集う今一番「ナウい」繁華街だとか。

さて本日の会場、Lezhincomics V-Hall。

地下3階へ降りるとスタッフさん数名が温かく迎えてくれた。

ホールはちょっと縦長の作り、後方は劇場のようにベンチ式のシートになっていて日本ではあまり見ない作り。

用意していただいていたお弁当を食べる。辛いのと辛くないのと2種類あったが自然に辛い方に手が伸びた。

体が求めるようになってきた。結果また汗をかいた。

 

リハーサル。

こちらも問題なくやりやすい。

音が気持ち良く響いている。

日本語が堪能なライブハウススタッフK女史の助けもあり、音響さんや照明さんとのコミュニケーションもスムースに。ほんとありがたい。

 

FUNKY4、スタンバイ中。

スルタン・オブ・ザ・ディスコの皆さん(以下スルタンと呼ぶ)にも改めてご挨拶。写真やライブ映像からは素顔が分からなかったが、皆ツヤッとしたかわいらしい顔をしていた。仲良くなれそうな予感がする。

 

本番直前。

いつものSEが鳴ると客席からは大歓声。

盛り上げ上手なソウルっ子たちが集まっているようだ。

(日本から駆け付けてくれたプラワン諸氏にも感謝します)

これはもうやってやるしかない。

さぁいきましょう、ホイサホイサ。(←これは日本語)

 

盛大な歓迎を受けて(ほんとカムサハムニダです)ライブは大盛況。

(自分で言うのもなんですが)

 

踊れる曲、騒げる曲で盛り上がるのはもちろん、「最終列車」のあとのドワ~っと地鳴りのように響いてきた拍手と歓声には、今まで味わったことがないような感動を覚えた。

 

言葉がわからなくても音から響いて伝わるものがやはりあるのだなぁ。

 

結果、ソウルっ子たちは出会ってものの数十分で直ちに人間やめてしまった。

ファンカリズモ的優等生。

アンコールでも一曲。

アイフィールグッド。

重ね重ねカムサハムニダ。

 

スルタンの熱気も凄かった。

そして聴こえてくる曲がどれもファンキー&メロウ。

さらに超キャッチーで、一曲始まる毎に皆「いいな~いいな~」と唸ってしまう。

ステージ袖からチラと見てみたら、皆いい顔をして踊っていた。

 

カラッとしているのだ。

ファンクであり、ディスコであり、そういったとかく汗っかきな方面へと向かいがちな音楽性でありながら、どこかピリッと肌を刺すような乾きが感じられるのは彼らが大陸の冷たい風の中でそのセンスを研ぎ澄ませてきた「韓流」が故であろうか。日本にはないサウンド、ポップセンス。要チェックやで!

 

と、休み休みここまで書いていたらもうすぐ家に着きそうです。

帰国してまず最初にしたことはコンビニでビールを買うことでした。

 

現在16日23時ちょうど。

ただいま日本。

これからもよろしくDOぞ。

 

——-

 

という書き掛けの文章を、17日の26時にアップ。

今日はリハした後にちょびっと個人練入って夜中に撮影。

小雨がぱらつく中、いい感じでした。

 

明日18日は横浜ワンマン。

EXTRAツアー初日。

何が出るかな?

ご期待ください。

 

 

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フリーのことは知ってます。in Jeju , Korea

【2015/11/16】

 

11月16日 朝

 

ソウルでの夜が明け、目を覚ますと真っ暗な朝。

今の時間と外の明るさとの釣り合いがなかなか取れない。

7時を過ぎても車がライトを付けながら走っている。

 

さて、前回の続き。

 

14日 夜

 

済州島でのライブは「CITY BEAT」というサーキット型のイベントで

今回出演するGET SPACE含め全5箇所で同時開催されているもの。

DJ陣含め20組強の出演者の多くはソウル界隈から来ているらしい。

海外からの出演者はスクービードゥーのみ。

 

前の出演者は四人編成のロックンロールバンドで

みな黒を基調にしたシュッとクールな格好をしている。

一体どんな感じなんだろう、

いきなりザ・ニートビーツみたいなマージービートやり出したりして

なんて期待していたら一曲目がまさかの『仁義なき戦い』テーマ曲の

ロックンロールカバーでアガった。

そのあとの曲も瑞々しいロックサウンドでかっこよかった。

 

一人で踊り狂う女の子。

二人肩を並べて片足でリズムを取る彼氏と彼女。

壁やカウンターに寄りかかりながらドリンク片手にちょいノリする大人たち。

あるいは興味無さげに見えて実は心の奥で静かに感動している同業の人。

ライブハウスで繰り広げられるそんな多種多様な楽しみ方のひとつひとつを

ここ韓国・済州島で当たり前のように見受けられたことは

やっぱりみんな音楽が、ライブが好きなんだ

ということを改めて感じさせてくれて嬉しかった。

 

決して多いとは言えなかったお客さんたちが

自分たちのライブで踊ったり、騒いだり、

スマホを取り出して動画を撮り始めたり、

思い思いの形でなんらかの反応を示してくれること。

よくわからないけど、なんかこんな音楽初めて見た、

ナニコレ?

という感じの目をして突っ立っていたり。

 

そんな人たちの前で上手に手を抜くことができるようになったとしたら

その時はもう音楽をやめる時なんだろうなぁとこれを書きながら今思った。

こちとら恥ずかしいくらいに汗かいて全力で音を鳴らして

ふとライブ終盤で歯を食いしばりながらギターソロ弾いてるギタリストを見たら

あぁなんかもうみんな狂っちゃってんなぁ取り憑かれてんだなぁと

きっとその時は心の中でニヤニヤしていたんだろうなぁ。

 

済州島でのライブは、そんな感じでとても初々しい気持ちになった。

 

終演後、ライブに感動したと上機嫌のおじさんが

「おまえのベースはフリーみたいで最高だった。

フリーって知ってっか?レッドホットチリペッパーズの」

と肩を叩かれたのが、なんか良い思い出。

一日で良いからフリーみたいなムキムキの体になってみたいものだが

ここ数日の肉と唐辛子とニンニクの大量摂取によって

いくらかベースもムキムキ成分多めで鳴っていたのかもしれない。

なんにしろ楽しい一夜。

 

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マッコリで乾杯して、ほどほどに飲んで、

済州島名物トンコツラーメンで〆て

(歴史を感じさせる器が秀逸だった)

さぁ明日はソウルへ向かいます。

 

おやすみなさい。

 

 

という文章を、

現在11月16日午前10時22分、記す。

いくぶん饒舌になり過ぎている感否めないのは

あ、今日はライブも車の運転もないし、

こんな日ってめったにないなぁと目が覚めてから気が付いてしまったので

朝から缶ビールを一本いただいてしまっていることによるものです。

 

その辺もあわせてお楽しみください。

今晩、日本へ帰ります。

 

 

ファンキー獣道 in Jeju , Korea

【2015/11/15】

 

11月14日

 

7時半頃 目が覚める。

8時過ぎ、モビー氏と朝食を食べに近くの市場へ。

市場と言えば朝が早い、というわけでもないらしく、

どの店もまだ準備を始めたばかりといった状況。

活況な市場の風景、とは程遠い。

ただ店先に並べ始められているブツを眺めていれば、

自然とこの辺りの名産品が見えてくるもの。

 

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キムチ類はもちろんのこと、

やたらと仰々しく並べられた大中小のみかん、

昨晩食べたサバ等の魚介類、なかでも太刀魚はゆうに1メートルはあろうかという巨大な、先祖代々受け継がれてきた名刀のような神々しい輝きを放った個体がズラリと並べられていて壮観。

 

ところが思いがけず飲食店が見当たらない。

あっちかなこっちかな、

としばらく歩き回っているうちにそれらしいお店を一軒発見。

 

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一切外からは何が食べられるのかわからなかったがひとまず入店。

先客は、6人程でテーブルを囲む一家と、3人連れのおじさんたち。

店内のメニューを見るとちゃんと日本語表記あり。助かります。

ド定番らしい豚の腸詰めクッパを頼む。

すぐに例によってお通しの盛り合わせが到着。

 

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今回はアミエビの塩辛のようなものが強烈であり、しょっぱかった。

奥のおじさま方が頼んだらしいクッパがグツグツと鍋の中で煮えたぎりながら運ばれていく。土着な風土の香りがする。期待が高まる。

隣の一家は大皿に乗った焼き魚を静かにつっつきながら

皆が思い思いの感情を持って食事を済ませているといった塩梅であった。

韓国は料理が出てくるのが早い。待たせない。

というわけで、クッパ登場。

 

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豚骨の白濁したスープが器の底から湧き出るように沸いている。

上にこれでもかとまぶされているのは大量のゴマと唐辛子。

一口食べてみると濃厚な豚骨の旨みが口の中いっぱいに…

といきたいところだがアツアツなのでなるべく口の中いっぱいに広がらないようにして食べる。

濃厚なわりに塩気が足りない。少しずつ塩を足していくとよりおいしくなった。

スプーンで煮えたぎるスープをヨシヨシとなだめるようにして混ぜてみると中には大量のホルモン(臓物と言った方がより雰囲気が伝わる)と赤褐色をした豚の腸詰め。

この腸詰めが英語では”Korean Blood Sausage”と呼ぶらしく

いかにも血なまぐさいというか、「豚でした」という豚の全要素を練り込んであるといった感じでブヒブヒと押しが強い。

一頭の豚が溶け切るまで煮込んだらこの一皿になったといった感じのクッパをこのまま食べ続けていたら『千と千尋の神隠し』のご両親のようにでっかい豚になってしまうのではないかとドキリとして前を見たら、そこには豚ではなくアフロヘアーのモビー氏がいたので一安心した。

二人は人間のままの姿で豚のようにクッパにがっついていた。

 

部屋に戻って両者無言のまま思い思いに時を過ごす。

豚のようにゴロゴロしていたらいつの間にか集合時間に。

とはいえ、集合してまずすることは皆で昼食を食べに行くこと。

いよいよ豚街道まっしぐらである。

韓国は噂に違わず皆運転が日本よりアグレッシブ。

車間距離も近いし、方々からクラクションが鳴る。

車に揺られているところをブーブーとクラクションを鳴らされると

今朝市場で見た豚足の画を思い出してふと自分の手を見たら、

まだベースを弾けそうな指が5本あったのでこれまた一安心した。

そうこうしているうちに車は目的の店に到着。

今度は豚ではなく鶏だそうだ。

酉年生まれの血が騒ぐ。

 

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席に着くや C君がササッと料理をオーダー。

メニューはもう決まっている。

まずはハイ来ました、キムチその他のお通し盛り。カムサハムニダ。

それに加えて、塩と平皿が2枚。

そこへグツグツと登場したのがサムゲタン。おいしそう。

 

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アッツアツなので平皿に移しながら食べるようだ。

サムゲタン。

「高麗人参」と「鶏」と「スープ」で参鶏湯だということ。

 

鶏自身も自分が骨の髄まで煮込まれることでここまでおいしくなれるとは

生きている間はユメ思わなかったであろう。

柔らかく煮込まれ、スープにされるためだけの一生であったとしても

こうしておいしく食べてくれる人間がいてくれたのであれば

それはそれで報われると言うものではないだろうか。

まさにこれ、一生を賭した天賦の才。(超一方的解釈)

これまたこの濃厚なスープを飲み続けていたら

やがて腕はヒョロヒョロになって掌はモミジのように細長くなり

首を上下に振ってリズムを取るように動き回るしかない鶏のようになってしまうのではないかと心配になったが、

それはそれで今の自分の姿とさほど変わりはないので

気を取り直して思う存分熱いスープをすすり続けた。

 

ライブハウスへ。

チェジュの中でも繁華街らしい一角にある「GET SPACE」が今晩の会場。

地下への階段を下りるとアラ素敵。

そこは日本と変わらぬ、イヤそれ以上に清潔な雰囲気のライブハウス。

規模も300人キャパ程のゆとりある広さでステージの高さもちょうど良い。

照明もLEDでさぁキラメキますよ、照らしますよとやる気に満ちあふれている感じが伝わってくる。

 

リハーサル。

音も特に問題なし。

それどころかやはり電圧の違いなのか、

音が普段以上にイキイキとしているようにも感じる。

ドラムがパーテーションで仕切られているところが新鮮。

この感じ、ついチョナンカンさんばりに『僕らの音楽』と言いたくなる(?)

 

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他の出演者さんたちにも

アンニョンハセヨ~チャルフタッカムニダ~とご挨拶。

物販の準備等も終え、一旦ホテルへ戻る。

 

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集合時間の少し前に、せっかくなのでともう一度市場をフラリ。

すると朝とはうってかわって大盛況。活気がある。

これぞ市場。来て良かった。

 

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陳列されている品々も「朝はまだスッピンだったのよ」と言いたげに

見違えるような色つやを存分に発揮してどれも魅力的に見えた。

太刀魚はもう見ているだけでスッパとこちらが切れてしまいそうだった。

魚の干物も瑞々しく干上がっていた。

カニは潔く腹カッ捌いて、

まっぷたつになってオレンジ色のハラワタを自慢げに見せつけた。

 

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湯気の立ち上っている場所は肉屋。

今まさに腸詰めが蒸し上がり(布のようなものを巻いて蒸していたように見えた)

豚足やら何やらとともにそれらを買い求める客が群がっていた。

 

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ネギやニラ、白菜、サンチュ、エゴマといった青菜類の緑が目に優しい。

ぶっとい大根はキレイに皮が剥かれていて完璧なる美白に。

唐辛子の山は干涸びた中にもその内奥に今なお生命の炎を燃やしているようだった。

ツヤッとした赤色の肌と沈み込むような影との陰影が、何か崇高な仏像を眺めているような凛とした気持ちにさせないでもない。

気持ちが研ぎ澄まされていくようだ。

 

そんな気持ちのまま再びライブハウスへ。

はあはあ…なんだかとてつもなく長くなってしまった。

ここらでちょいと息継ぎのため、今日はこの辺でお開き。

 

ファンキー獣道 in KOREA、まだまだ続きます。

 

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韓国へ

【2015/11/14】

11月13日

 

韓国へ。

初の海外ライブ。

いつもと同じ楽器を抱え、

羽田から金浦へひとっ飛び。

 

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昼過ぎ発のコリアンエアー。

四、五人いるCAさんは一人の日本人を除いて皆韓国の方。

テキパキと仕事をこなしている。

さすがにプロの目利きの力が備わっているのか、

一席ずつイヤホンを配る際に瞬時に相手の国籍を見分けて

「イヤホンをどうぞ」「イヤホンなんちゃらニダ」みたいなことを

言いながら近づいてくる。

通路を隔てた隣りに座っていたマツキ氏には

「イヤホンです、どうぞ」と言ったのち

私には「イヤホンなんちゃらニダ」と言って

柔らかな手つきでイヤホンを差し出してきた。

私は静かにそれを受け取った。

 

たった二時間程度のフライトなのにガラガラと

思いがけず機内食が出てきて妙に得した気分。

しかもおいしかった。サムゲタンみたいなやつ。

ビールまでついてきた。「hite」と書かれたもの。

あたくしすっかり大満足。

 

飛行機は途中、気流に煽られかなり揺れた。

この力強い揺れがしかし、いまオレは国境を越えているのだ、

という勇ましい気持ちを煽っているようにも感じた。

すぐお隣の国へ渡っているだけなのだが…

 

金浦空港着。

 

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金浦空港で楽器の引き取りに時間を取られていたら

同じく待ちぼうけ状態の団体さんの中に

スーパーベーシストの櫻井哲夫さんがいらして

調べてみたら14日にソウルでライブらしい。

興奮して思わず声を掛けさせて頂く、ということも特にせずに

遠くから熱い視線だけを送らせて頂いた。

 

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金浦空港で今回のライブをコーディネートしてくださったYさんと

韓国のレコード会社スタッフC君が合流。

 

国内線乗換ターミナルへバスで向かい、

チェジュ航空での手続きもC君がペラペラと韓国語でサラリと。

 

外は雨。その影響もあってか、

16:45発の予定が使用機なかなか到着せず結局数十分遅れて出発。

機内は満員であった。一時間程の短いフライト。

 

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チェジュ空港着。今回はすぐに楽器が出て来る。

ここからレンタカーを借りてホテルへと向かう予定であったが

待てども待てども車が来ず、どうやら道が大渋滞している

とのことで、二台に別れてタクシーに乗り込む。

韓国は左ハンドル、右側通行。

わかっていてもカーブのたびに体がねじれるような感覚になる。

前の席ではC君とドライバーさんが韓国語で会話をしている。

一握りも分かる気がしない。

街に溢れるハングルの文字。これまた全くわからない。

ハングル文字の中で多用されるぽっかりと口を開けたような○が

漢字とは違った印象を与える由縁だろうか。

読めるようになれば楽しいのだろう。

外の湿気のためか、タクシーの窓は曇っていた。

 

ホテル着。

フロントのご婦人とC君が長々と話しをながら

時にヒートアップしているような感じも伝わってきたので

「あぁこれは部屋が取れてなかったのかなぁ」と最悪の事態を想定していたら

予定されていた部屋数が確保さていなかったということ。

あぁもうそんなことでしたら、とモビーさんと急遽ツインに一泊。

 

部屋に荷物を置いて晩ご飯へ。

C君の会社の社長さん(済州島出身)オススメの食堂へ。

 

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ホントに「食堂」という他ない”THE食堂”。好きな感じ。

BGMの流れない静けさの中を

食器のカチャカチャといくらかの会話と注文の声が

心地よく飛び交う店内。もう11月だというのに蚊も心地良さそうに飛んでいた。

お通しのような感じでキムチやら青菜やら味噌っぽいのやら

赤青黄色の色々なものがまずは食卓に並ぶ。

 

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店員のおばさまも愛想がいいんだか悪いんだかわからない手さばきで

ザッザッザッと食事を運んでくる。

ビールで乾杯。おいしい。

サバのお刺身。

 

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これをサンチュやエゴマの葉に乗せ、

生ニンニクを一カケ加えて巻き、辛いタレをつけて食べる。おいしい。

もちろんそのまま刺身として食べてもおいしかった。

銀の器に盛られた赤飯のような色をしたご飯も一緒に。

続けてスープ。

 

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真っ赤なやつ。メバルの煮込みスープだという。

辛い。

スプーンで中をグルグルかき混ぜてみると

青唐辛子に赤唐辛子に、いろんな辛そうなのが溶け込んでいた。

これまた信じられないくらいにおいしかったが、

信じられないくらいに汗をかいた。食べるのにも気合がいる。

韓国の人は日々の食事の中でこの並々ならぬ気合が自然と備わって行くのだろう。

そしてちょっと油断しているとすぐに食器を下げられてしまう。

ヒーヒー言いながら汗を拭っている合間もまったく気が抜けない。

 

九時を過ぎると他のお客さんは一斉に帰って行って

店内はFUNKY4一行6名だけとなったが、店は10時までとのこと。

どうぞゆっくり食べてってください、

と言ったらしい(韓国語だったので)おばさまは

店内の席でラーメンのようなものをすすりはじめた。おいしそうだった。

しばらくすると、奥で調理をしていたご主人も一緒に食べ始めた。

 

食事を終えて、ホテルへ戻る。

途中に焼肉ストリートのような一角があって

肉を焼く匂いがニクニクしいほどに香ばしく漂ってくる。

しかし今はもう無理。

イヤ、オレはまだいける。みたいなことを

うちのファンキードラマーが呟いていたのには聞こえないフリをした。

コンビニに立寄り、飲み物やらをちょっとだけ。

初めてウォンを使う。

お会計4,000ウォン。

1,000ウォン札4枚を何度も手元で確認して支払う。

そんでホテルへ戻る。

ホテルは部屋ごとにWiFiが飛んでいるようで、

へ~、スゴイね~、あ、ちゃんと繋がるね~サイトも見られるね~

ってな感じでこうしてブログも更新。

 

初の韓国済州島の旅。

このあと一体どんな展開が待ち受けているのか?

ひとまず今日はこの辺で。

アンニョンヒガセヨ~