マツキタイジロウ
HANDセルフライナーノーツ③
【2019/8/3】
M3.「Have A Nice Day!」
ソウルミュージックを聴いていて感じる熱さや生々しさ、だけでなくその裏にある気高さや気品みたいなものを自分たちの音楽にも閉じ込めたい、というのはスクービーを始めた頃からの命題でもある。
悲しい、という感情を持ったことがある人間であれば、生まれついたり与えられた抗いようのない状況に対して、決して屈しない、魂は渡さない、勝てなくても負けない、とかそういった心の理想的持ちようが、そうしたブルースを乗り越えて行くための手段の一つであることをどこかで理解はしているのだと思う。
そう、生きていれば色んな事が予想もしないタイミングで起きる。
だが闇雲なポジティブマインドにそう簡単になれはしない。諦念やケ・セラ・セラから生まれる表現によってそんなブルースを癒す手段も音楽にはある。だが今それは選びたくなかった。何故だかは分からないがきっと曲の持つ温度がそうさせているのだと思う。
例えばそこまで大げさなことでなく、好きなラブソングだったり、ユーチューブだったり、ちょっとした贅沢だったり、通勤中にすれ違うあの人だったり、友達や家族、ライブ、映画、食べ歩きだったり、きっと自分の生活の中にあるたわいも無い何かがそんなブルースを乗り越えるための手段にもなり得ることに気付いていたい、そんな軽やかな心の持ちようがソウルミュージックを聴いた時に感じる気品や気高さなのではないだろうか。
オーティス・レディングから忌野清志郎を経て言い継がれた「勇気を出せよ 君の人生だろ」って言葉が端的にソウルミュージックが持つ普遍的なメッセージを言い表している気がして大好きなのだが、自分の中で転じて「君は君の人生を生きろよ」つまり「Have A Nice Day!」となった、ってな曲です。
バッキングコードストロークはデラリバ直350T。
ギターソロはJHS Morning Gloryで軽くブーストしロングディレイをわずかにかける。
P.U.はどちらのギターもLindy FralinのPure PAF。
左は’65年350Tのナチュラル。
右のメインより甘いトーン。
スクービーだとバンドアンサンブルに埋もれがちなのでなかなか出番がないのが気の毒。
ダビングはフェンダー社に借りた’68 CUSTOM PRINCETON REVERB。
出力12Wと小ぶりながらギターそのものの音を余計な味付け無しに引き出してくれる。
ストラトはフラット、箱モノはハイ上がりにEQをセッテングする。
サビとAメロの単音リフはストラト。
サビをハッとさせるためサビ頭にストラトにディレイをかけ4音コード弾きしハープのような効果を狙う。
Jazzy Cat素晴らしや。
全編に渡って歌の合いの手のように入るフレーズはエピフォン335。
’92〜3年にギブソンパーツのみを使い製造されたモデル。採算度外視し過ぎすぐ製造中止になってしまったそう。11年前に旭川の古道具屋にて購入。
こちらもP.U.はLindy FralinのPure PAF。
JHS Morning Gloryで歪まない程度にブーストしプリンストンへ。
’18年12月の「サバイバルファンク」録音時にプリプロとして試し録りした結果やや冗長に感じたため、余分な部分をカットし構成し直すことで尺の割にドラマチックな進行の楽曲に生まれ変わった。
これもバンドマジック。
つづく