マツキタイジロウ
HANDセルフライナーノーツ①
【2019/8/1】
「Have A Nice Day!」発売を記念し、前作に引き続き作者自らこの作品をどこよりも誰よりも詳しく解説させて頂きます!
今回は普段語る機会の少ないギターを中心にレコーディングを振り返りながら少しマニアックなお話も出来たらなと。ギター好きの人はかなり、そうでもない人もそこそこ?楽しめる内容になるかな、なるといいな、なれ。
いわゆる副音声とかスピンオフ的なアレですのでアルバムを聴きながらでも通勤通学中にでも暇つぶしにでも気軽にお付き合い頂ければ幸いです。
M1.「真っ赤なノンフィクション」
前作「CLACKLACK」リリース後から、アフロファンクみたいな曲やってみたいなぁ、とボンヤリ思いながらアイデアだけを思い詰める日々を送る。あの巨匠、池波正太郎も真夜中の数時間にペンを握るまではその日描く事をただただ思い詰めていた、と言うくらいだから、アイデアを形にするには時間がかかるのだ。
ついに2018年の9月、思い立ってそれまで温めていたアイデアをデモにし始める。そんな中で形になった最初の曲。アフロ感のあるリフを探りながらギターを弾きロジックにリズムを打ち込んでみると11/8拍子に。我が事ながら「なんじゃこりゃ!?」と思いつつ、狙っていた所と違うが何だか得体の知れない高揚感を感じ、これはヤバいものが出来る、という手応えを感じる。
全編に渡るコードストロークはライヴでも同じみメインのGibson350T。1981年製。まあまあビンテージの域か。98年に手に入れたので既に20年以上の相棒。
センターブロックの無いフルアコなのにボディーが薄く、軽い、という所もお気に入り。
田島さんが持つとレスポールサイズに!
んなこたないか。
2年前のナタリーにて。
クリーン過ぎてもイメージと違うのでクリーンブースターJHSのMorning Gloryで若干歪ませ気味に。これフレデリックのギタリスト赤頭くんにおススメされてからずっと使ってる。
設定はこんな感じ。DRIVEを上げていくと音も硬くなっていく。Lowはややファットだが自然で350との相性がいい。
メロディーに誘われるまま出来たサビのコード進行Dm7→Em7→EbM7→Cm7→BbM7→EbM7→Bm7→E7
てのがなかなかあり得なくてお気に入り。
Bメロから左側で鳴り出すのは’90年製Fender Japanストラト。ピックアップをKlein社のJazzy Cat(ジョン・メイヤーのストラトを研究し開発されたそう)に変えフロントピックアップのヌケが堪らなく気持ちいい。
「あっしでござんすか」と今にも言い出しそうな、どこからどう見ても典型的なストラト。
Providenceのベルベットコンプを噛ますとミッドレンジがグッと上がるので今回はストラト+コンプが大活躍。ドリアン一発なサビ後のフレーズには長めのディレイを。
BRADIOのギタリスト聡一くんが使っているのを見て試したら凄く良くて。レコーディングには欠かせない一品。
大サビではストラトにファズとロングディレイで「混沌の中に浮かび上がる美しさ」を表現するストリングスの様なフレーズを差し込む。録音し終えコンソールに戻るとエンジニアの中村さんがポツリ「ファズの正しい使い方だと思います」。
アンプはFenderさんにお借りした現行’68 Custom Deluxe Reverbe。
録りマイクはゼンハイザー421、通称クジラマイク。豊かな中低域をクリアに録れる。
インプット1のBassmanチャンネルにもリバーブをかけられる仕様になっているのが現行品の素晴らしいところ。今回はBassmanチャンネルを使用。
Bassmanチャンネルは中域が豊かなのでハイ上がりな設定。弦とピックが擦れる音まで再現してくれる繊細な音。
つづく。