ダンスホール野音

【2015/10/11】

 

10月11日

 

朝から雨。

午前中は雨足強まるも午後には止む。

 

野音から一週間。早い。

 

楽屋でベースを磨いて弦を張り替えたのが

ついさっきのことのように感じられる。

 

10月4日。晴れ。

 

当日の昼、会場に入ってまずステージへ。

そこには巨大な「Funk-a-lismo!」フラッグが既に張られていて

それを見上げる舞台監督さんに「晴れましたね」と挨拶すると

「こんな晴天、一年でめったにないですよね」と。

そう言われた時に、たったそれだけのことで

あぁ今日は間違いなく良いライブになるんだろうなぁ、と確信した。

 

照明さんやPAさん、ローディーさん。

もう長年の付き合いになるスタッフさんたち。

慌ただしく動き回りながらも、皆どこか穏やかな表情に見えた。

 

澄んだ秋空の下を

ゆったりとした大きな時間が流れていく。

 

バックステージに仙台から走ってきたという四星球の皆が

早々に機材車で乗り付け。

 

U太くんが両手で重そうに段ボール箱を抱えて持ってきたので

大量のビールを差し入れしてくれるのかな、申し訳ないな、と思ったら

自分の愛用するベースのアンプヘッドで

「何かあったらコレ使ってください!」ということ。

ありがとう、でもサブはちゃんと用意してるから大丈夫だよと伝えると

電車でご老人に席を譲ろうとしたら思いがけず固辞されちゃって

なんか座るに座れなくなってしまった若者のような決まりの悪そうな感じで

「ホンマっすか?いいんすか?」みたいな雰囲気にさせてしまってゴメンね。

気持ちだけいただきました。DOもありがとう。

 

緩んだ空気のまま、でも気持ちはピンと張ってはいるのだが

すごく心地よい時間の中を、この時間はきっとすぐ終わってしまうのだろうな

と静かに予感しながら、何をするでもなく客席やステージを行ったり来たり。

 

続々と届けられる花。

一人また一人と遠方から駆けつけてくれるイベンターさんや関係者の方々。

ひとまずこの晴天を話題にして一笑いする。

みんな自分のことのように嬉しそうな顔をしてくれる。

 

サウンドチェック。

聴き慣れた自分たちの音が野音の会場内に轟く。

たったそれだけのこと。でもとても気持ちが良い。

使っているベースもアンプも9年前と同じもの。

ギターもギターアンプも。そんなバンドめったにいない。

それが良いとか悪いとかそういうことではなく、

結果的にそうだったというだけのこと。

今日ばかりはそういう一つ一つの些事を奇跡と呼んでも

大目に見てもらえるような、ちょとだけ甘えたような気持ちがあっても良いのかなぁ…なんてことはその時まったく思わなかったのだが。

 

リハを終えてスーツに着替え、プレミアムチケットの皆様と写真撮影。

熱烈な歓迎を受け、DOもDOもと恐縮する。

みなさんもよくぞいらっしゃいました。ほんとDOもありがとう。

野音周辺に渦巻いていた熱がじわじわと野音内部にも入り込んできて

いよいよ祭りらしくなってきた。

 

一旦また着替えて楽屋で待機。

すると誰からともなく、

あれ?なんか夜から雨降るかも知れないみたいよ、と。

マジっすか?こんないい天気なのに! なんて話していたら

名古屋からフラカンの皆さんもご到着。

いいねいいね、晴れたね、と皆満面の笑み。

メンバーがスーツに着替えずにまだティーシャツやらの私服姿でいたのを見て

開口一番竹安さんが「え!なに、今日のライブはあえてのそのカッコ?」

と本気で驚いていたので、ンナわけないじゃないですか!とまた笑う。

ホント、フラカンの存在には助けられてます。あざす、ざす!

「SCOOBIE DO メンバー楽屋」と書かれた楽屋入口に貼られた紙には

すでに『フラカン武道館』のステッカーが

東北のイベンターさんの手によって貼られていた。

 

電話を受けたスタッフさんが、

「これからピーズのハルさんも来られるそうです」

という知らせを受けた5分後くらいにはハルさんがもう会場に到着していて

ハルさんは何も言わずに目だけ合わせてこちらに優しく手を振った。

 

「みんななんでまだ着替えないの?」

とフラカン小西さんが心配そうに言うので

あぁそうだったと、15時50分くらいから皆着替え始める。

白スーツさん以外の3人は目にもまぶしいワインレッド。

「赤いな~しかし」と言いながら、そんな赤いやつを身にまとってみると

徐々に徐々に身がピリリと引き締まって緊張感マシマシ。

そうこうしているうちにさぁそろそろ出番です。

あぁそうか、もう始まるのか。

始まったらきっとすぐ終わるんだろうなぁ。

あ、今日一番気をつけないといけないことってなんだっけ?

慌てないこと。

楽しむこと。

みんなの顔を見ること。

あとはまぁ、気絶しないこと。

 

いつも通りのSEが鳴る。

よしよし、さすがにいつも以上に盛り上がっている。

心臓の鼓動がドクドクと全身に響き渡る。

あ、やっぱ緊張してんだなぁ。

じゃあそろそろ行きましょう。

はい、よろしくお願いします!

 

と飛び出してったのが、10月4日16時10分頃。

そこから先は、もうしばらくしたらDVDになりますので。

乞うご期待。です。

 

 

終演して。

すごく良いライブだったと思う。

全力出し切った。

良いところも悪いところも全部ひっくるめて

最大限、DOがロックンロールしたライブだった。

 

関係者諸氏への挨拶の場には、

多くの先輩・後輩バンドの皆さん=バンド仲間たちが残ってくれていて

みなと熱く、固く握手。

祭りのあとという感じの興奮と寂しさがあった。

まだビール一本しか空けてないのに、

すごく酔っぱらったような気分になってしまった。

 

まだまだもっともっと、これからです

とシメの挨拶で、リーダーのマツキ氏。

 

20周年記念の野音のステージはここでお開き。

そうだDO、まだまだその先があるのだから。

 

ステージ上の機材は本日の幸福な余韻に浸る間もなく

チャッチャかチャッチャかと迅速に片付けられていった。

 

何事もなかったかのような静かな夜に戻った野音に

秋の虫たちの鳴き声が響く。

 

バイバイ野音、またいつか帰ってくるDO。

ステキな一日をDOもありがとう。