メジャーデビュー盤『GET UP』について メンバー4人で喋ってみました (2015.7.31) / セカンドアルバム『beach party』についてメンバー4人で喋ってみました (2015.6.12) / セカンドアルバム『beach party』について喋る前に ベーシスト・ナガイケジョー加入時の思い出をメンバー4人で喋ってみました (2015.6.5) / マキシシングル『No.3』についてメンバー4人で喋ってみました (2015.5.7) / インディーズファーストアルバム 『DOIN’ OUR SCOOBIE』について メンバー4人で喋ってみました (2015.4.14) / デビューマキシシングル『夕焼けのメロディー』 についてメンバー4人で喋ってみました (2015.3.28) /
(2015.4.14更新)
『DOIN’ OUR SCOOBIE』
1999年11月25日発売(DECKREC)
1.Do The Scoobie
2.白い蝶々
3.朝が来るまで
4.December Song
5.都会
6.Gimme Some More
7.きまぐれ天使
8.天国への階段
9.のら犬のブルーズ
10.悪い夢
コヤマ「さてさてお次は。『夕焼け』の延長線上で最初のフルアルバム『DOIN’ OUR SCOOBIE』が出来るんだけど…。
タイトルは確かMOBYのアイデアでBooker T. & The M.G.’s(注1)の『Doin’ Our Thing』から、だよね?」
MOBY「そうだね!「Never My Love」が入ってるアルバム!」
マツキ「(『夕焼け』に続いて)これもハチマさんプロデュースだっけ?」
MOBY「『DOIN’』の時は、ハチマさんはサウンドプロデュースって肩書きになって、
『夕焼け』の時よりは若干引いた感じの関わり方になったんだよね。スタジオに来て「いいねぇ」って言ってる感じ(笑)」
コヤマ「これはね出来上がるまでに、結構、難航した(笑)。当時、俺たちの中でビンテージ機材ブームみたいのがあってさ。
で、スプリングリバーブ(注2)ってのがいいらしいぞってなって、レンタルでAKG(注3)のスプリングリバーブを借りたんだよ。
それをわーっと使ったら、ボワーンとしたさ、カラオケみたいな感じになって。これじゃねーよな?って結構やり直した記憶がある」
マツキ「あー。MIXをね」
コヤマ「そう。『夕焼け』の時はマスタリングのFAIRCHILD(注4)で最終的に迫力を出す、みたいなことをしてたんだと思うんだけど…
それとは違うやり方を色々やってみようぜって感じだったりもしてさ」
ナガイケ「『DOIN’』はちょっと落ち着いたなっていう印象でしたよ」
コヤマ「ね。ナガイケが入った時にそんなこと言ってたからさ。やっぱ(前作『夕焼けのメロディー』とは)違う感じにはなったんだな、って。
で、この時はGOK(注5)でも録っててさ。GOKの音が俺、なんか好きなんだよね。ドラムがバサバサしててさ」
マツキ「「きま天(注6)」と「December」と…」
MOBY「「のら犬」」
ナガイケ「「December」いいんすよねぇ」
コヤマ「そうそう。曲はいいメロ系なんだけどさ、音はバッサーっとしてるからさ。この感じいいなって思って。
ナガイケはこのアルバムはリアルタイムで聴いてんの?」
ナガイケ「『DOIN’』は、リアルタイムで買いました。確かに『夕焼け』に比べて落ち着いた感じはしたんだけど…俺は『December』と
『悪い夢』の感じが、いい感じだなぁと思った覚えがある」
コヤマ「それで今回(ベスト盤用に)リマスタリングしてさ、『December』と『きま天』と『悪い夢』が入ってるんだけど、
他の曲と音量がそろったからか、迫力が増してさ」
マツキ「そうだね。太いなって感じするね。マスタリング技術の進歩なのか、ピースミュージック(注7)の凄さなのか(笑)」
コヤマ「ねー。それはすごいよかったよね」
ナガイケ「後、言っておきたいのはですね、ナカノさん(3代目ベーシスト・ナカノトモヒロ氏)のベースは凄くいいんですよ。
もたっとする感じとか、時々間違ってるものもあったりするんだけどそういうのも含めて、なんかすごくソウル(注8)っぽいテイストがあるんですよ」
MOBY「あーそうか!だから「落ち着いた感じ」みたいのは、ナカノの音の趣味も大きいんだよ!ただラウドなだけじゃなくて、
よりソウルっぽくみたいなことよく言ってたもん。結構、みんなでストイックにソウルを突き詰めてた時代なんだねぇ…。
俺、大学五年生でしたけど(笑)」
コヤマ「なにしろ帯のキャッチコピーが「ヤング!ソウル!レボリューション!」だから!
「なんちゃってソウルミュージック」じゃなくて「日本語のソウルミュージック」をやるんだって意気込んで作ったアルバムなんだよ。
そういや、ソウルといえば…、ソウルミュージック好きとしては、レンガバックのジャケ写ってのがひとつの憧れでさ。
The Impressions(注9)とかSyl Johnson(注10)みたいな。で、Queレンガじゃん!って気づいてジャケットとMVはQueで撮影したんだよね。
ジャケットどこで撮ったんですか?ってよく聞かれたんだけど「Queだよ」って答えると結構な確率で驚かれたな。そんな近場なんだ!って感じでね(笑)」
(次回、マキシシングル『NO.3』についてメンバー4人で喋ってみましたに続く…)
(ナガイケジョーが加入する以前、1999年〜2000年頃のライブ写真)
※1 ブッカーティー アンド ザ エムジーズ。スタックス・レコード専属のスタジオ・バンドとして、オルガンのブッカー・T・ジョーンズを
中心に結成された4人組インストゥルメンタルバンド。
1962年に発表したデビュー・シングル「Green Onions」が大ヒット。その他にも数々のダンスクラシックスを残している。
昨今、Youtubeで確認できるライブ映像は必見!カッコええ!
※2 スプリングの共鳴を利用して、リバーブレーション効果を作り出す機械。うまく使えないと、「カラオケみたい」あるいは「お風呂場みたい」
と言われるきっかけを作ってしまう機械でもある。
※3 アー・カー・ゲーまたはエー・ケー・ジー。1947年にオーストリア、ウィーンで設立され、音響機器の設計と製造を行っているメーカー。
このメーカーのスプリングリバーブが名機として有名。当時はなかなかうまいこと使いこなせず「ヴィンテージの機材を使ったからといって、
昔のカッコいい感じにはならないんだなぁ」と痛感させられたわけだが、そこらへんのモヤモヤした気持ちは初のカバーアルバム
『GRAND FROG SESSIONS』にて成就されるのだから、素敵なバンドライフ。
『GRAND FROG SESSIONS』未聴の方は是非!今なら通販サイトでも、購入可能!(宣伝)
※4 フェアチャイルド。レコーディングやマスタリングの時に、音圧を稼ぐために使用される機材。Beatlesがアビーロードスタジオで使用していたことで有名。「この機械に通すといいんだよぉ〜」とプロデューサー・ハチマ氏に言われ、マスタリング時に使用してみると、あら不思議。
なんかアナログ盤みたいな音=もっこりとしてスモーキーな感じになり、みんなで喜んだものです。
※5 ゴックサウンド。吉祥寺にあるレコーディングスタジオ。独特の部屋鳴りが特徴。当時のエンジニアが、『4 × 20』Disc3 収録のデモテープ音源(M1~M5)をレコーディングしてくれたDr.ハマ氏であったため、いろいろ無理を言いそれを聞いてもらいながら、試行錯誤でサウンドを研究した思い出の場所。
※6 収録曲「きまぐれ天使」のバンド内での呼び名。略称。同様の例として、「PLUS ONE MORE」が「プラワン」、
「真夜中のダンスホール」が「ダンホ」と呼ばれていたりする。
※7 BEST盤『4 × 20』のマスタリングを行ったスタジオ。CHAMP RECORDS立ち上げ後、『パラサイティック・ガール』から最新作『結晶』まで、
レコーディング&マスタリングでお世話になりっぱなし。
エンジニア・中村宗一郎氏の、“呑気&脱力”と見せかけておいてかーらーの、経験とセンスに裏打ちされた確かなエンジニアリングによって、
SCOOBIE DOもたくさんの名作を残すことに成功。
邦楽ロックファンの間ではゆらゆら帝国、坂本慎太郎氏がレコーディングをしているスタジオとして有名。
※8 別称ソウル・ミュージック。1960年代頃、黒人由来の音楽がポピュラー・ミュージックとして広く認知され、大衆化した時に付けられた呼称。SCOOBIE DOがソウル・ミュージック、ミュージシャンから受けた影響は数知れないが、一番大きく影響を受け、魅了されている点は
「踊れて、泣ける音楽」という部分であると思う。
※9 ジ・インプレッションズ。1958年結成シカゴ出身のボーカルグループ。
メンバーの変遷があるグループだが、SCOOBIE DO的にはカーティス・メイフィールド在籍時のインプレッションズを推したい。
『Keep On Pushing』、『This Is My Country』というアルバムが“レンガジャケ”盤。
SCOOBIE DOもカバーした「People Get Ready」他、名曲多数。聴こう!
※10 シル・ジョンソン。塩っ辛いハイトーンボイスが特徴の黒人シンガーでありソングライター。
ブルースとソウルを独自のブレンド比率で混ぜ合わせたファンキーな楽曲が持ち味。
HIP-HOPトラックのサンプリングソースとして頻繁に使用されてきたことからもそのFUNKY濃度の高さがうかがえる。
デビューから現在まで様々なレーベルを渡り歩いているが、DO的には1960年代後半〜70年代のTwilight & Twinight時代を推したい。
アルバム『Is It Because I’m Black?』が“レンガジャケ”である。
『GRAND FROG SESSIONS』収録「Come On Sock It To Me」のオリジナルは彼の作品。
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構成・文/ダイナマイト木戸