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(2015.3.28更新)
1999年03月10日発売(K.O.G.A RECORDS)
1. Come On Now!
2. Eの循環
3. 夕焼けのメロディー
4. 雨が降ったら
コヤマ「この座談会は、今まで出してきたアルバムやシングルなんかについて喋りながらちょいと思い出話でもしてみよう、ってな感じでいこーかなと。
で、まずはインディ一発目K.O.G.A(注1)の『夕焼けのメロディー』。これは4曲入りのマキシシングル。4曲入りだけど3曲があの当時でいうとリズムもので、1曲だけ歌もので。今の指向とはちょっと違うよね。当時はもっとリズム&ブルース推し、リズムもの推しだったじゃない?そんな中で「夕焼けのメロディー」はパッと出来たいい曲っていうイメージがあるんだけど……」
マツキ「でも、「夕焼け」も結構変遷してるんだよね。最初はドゥットゥクドゥットゥクっていうリズムでさ」
コヤマ「あぁそうだ。スライ(注2)みたいなね」
マツキ「で、いい曲っぽいんだけどイマイチしっくりこなくてリズムが速くなっていったんだよね」
MOBY「(曲のアレンジを詰めている)その間に、オギー(初代ベーシスト・オギヤマ タカシ氏)が辞めたんだよ。俺、弾けねって言って」
コヤマ「そーかそーか(笑)。意外に色んなことがあってできた曲なんだな。作詞作曲者からみるとこの曲はどんな曲?」
マツキ「ブルースっぽい曲はいっぱいあるから、(それとは違う)黒人がやる歌モノソウルみたいなつもりで作ったんだけど…」
MOBY「そういえば、あの頃はバンド内でBobby Womackの1st、2nd(注3)が流行ってた」
マツキ「でも、そういうつもりで作っても曲が一番しっくりくる感じっていうのが、CDになったあのアレンジだったっていうね。もともとの好きなところは60sのシカゴブルースやソウルやR&Bだったりするんだけど、結局は楽曲の呼ぶアレンジに落ち着かざるをえないっていう。スタイルにとらわれないっていうかさ。そういうところに向かう最初の曲なんじゃないかな。スタイルだけでやっていたら今みたいなバンドにはなってないと思うんだよ。こんなに長く続いてないとも思うし」
コヤマ「バンドマンとしての演り心地みたいなとこもあるよね。美意識だけじゃないっていうところ。なるほど。この曲がSCOOBIE DO最初の一歩だったんだね。この曲は(録音は)西船ですか?」
MOBY「そう。西船橋のスタジオサン(注4)。2日で録って1日でMIX。13時入りの20時ぐらいには終わってて…」
コヤマ「今とおんなじ」
MOBY「で、駅の北口にあるまる福(注5)に行って、2日連続ハチマさん(注6)と終電ギリギリまで飲んで…」
マツキ「行ってたなぁ」
MOBY「ほっとくと煮込みが固まるっていう。それくらい濃い!あそこはいい店ですよ」
コヤマ「そっから居酒屋人生も始まってんだ(笑)。あのレコーディングのプロデュースはハチマさんなんだけど…」
ナガイケ「『夕焼け』はハチマさんプロデュースなんだっけ?それはまた、どういった経緯で?」
マツキ「KOGAさん(注7)のアイデアだよね。デビュー盤だから、話題もあったほうがいいってことで。K.O.G.Aの看板バンドだったからね、デキシー(注8)は。
SCOOBIEならハチマさんいいんじゃない?って」
コヤマ「レコーディングする時の理想のイメージとして、好きで聴いてた7inch.盤の爆裂したドラムサウンドとかさ、とにかく迫力のある音像ってのがあって。
Yaung Skins(注9)の音源とか聴いていいな!って思ってたから、それをハチマさんとなら出来そうって感じもあったんだよね。
ナガイケは『夕焼け』は買ってたんだっけ?」
ナガイケ「買ってますね。夕焼けはね………あれですよ、のちにハンモックス(注10)を一緒に結成することになる年上のギタリストが
「SCOOBIE DOのギターはやばいぞ!」って言ってて。でも俺は『夕焼け』買って聴いたら、ギターの凄さが当時はまだあんまり分からなくて…」
コヤマ「ははははははは」
マツキ「そうかそうか」
ナガイケ「それよりも「Come On Now!」の歌詞とドラムのスネアを一発遅らせるっていう…あれが、かっこいいなって」
コヤマ「じゃあ「Come On Now!」が良かったんだ」
ナガイケ「そうですね。「夕焼け」よりも「Come On Now!」がスゲエ曲だなって思った覚えがある」
コヤマ「あれ1曲目だもんね。なかなか歌始まんないけど」
MOBY「ハチマさんも言ってたもんね。「なかなか歌始まんねぇんだよ」って(笑)」
マツキ「歌い出したと思ったら歌詞少ねぇし(笑)」
コヤマ「4行くらいだから(笑)」
ナガイケ「でも、あの歌詞は結構衝撃でしたよ」
マツキ「なんとでも言える、どーとでも取れる感じね」
MOBY「ソウルでもそういう曲あるもんね」
コヤマ「意味ありげなね。そういうのはやっぱ好きな感じなんだよなぁ」
(次回、「1st アルバム『Doin’ Our Scoobie』についてメンバー4人で喋ってみました」に続く…)
(1996年頃のライブ@東高円寺UFOクラブ)
※1:K.O.G.A RECORDS。2014年に設立20周年を迎えた下北沢を拠点とする日本を代表するインディレコードレーベル。
※2:スライ&ザ・ファミリーストーン。1967年に結成された人種混合ファンクロックバンド。
粘っこいFUNKNESSと人懐っこいPOPNESSが共存した音楽を鳴らす、ファンク界の中でもワンアンドオンリーなグループ。
※3:黒人シンガーソングライター/ギタリスト・ボビー・ウォマックの1stアルバム
『Fly Me to the Moon(1968年)』、2ndアルバム『My Prescription(1969年)』。
2ndアルバム収録の「I Left My Heart In San Francisco」という曲が当時バンド内で流行っていた記憶あり。
※4:JR西船橋駅南口より徒歩2分。京葉道路原木インターより3分。1階なので搬入もラクラク、の素敵なレコーディングスタジオ。
エンジニア・槙野ユウ氏の豪快かつ繊細かつ時にでたらめなエンジニアリングのおかげで、SCOOBIE DOもたくさんの名曲を残すことに成功。
デキシード・ザ・エモンズ(注8)を始め、KING BROTHERS、THE NEATBEATS、THE PRIVATES、毛皮のマリーズなどもレコーディングを行っている。
※5:西船橋駅北口にある大衆居酒屋。それ以外の情報が必要な方は食べログを見るか、MOBYに直接聞いてみてください。
※6:八馬 義弘(ハチマヨシヒロ)氏。デキシー・ド・ザエモンズ(注8)ではドラマー、ブルースバンド ハウリンハチマではギターボーカル、
そして現在はハッチハッチェルオーケストラ代表取締まられ役、とその多才さをゲラゲラと笑いながら披露し続ける音楽怪人。
※7:K.O.G.A RECORDS社長、古閑 裕(コガユタカ)氏。SCOOBIE DOのライブを観たその日の夜に「うちで出さないか!」と声をかけてくれた男気とセンスに最敬礼。
NHK-FMのライブ公開収録番組「ライブビート」の司会も務める、音楽とお酒に人生を捧げた愛すべきお方。下北沢で会いがち。
※8:デキシード・ザ・エモンズ。アベジュリー氏(Vo,Gu)、ハッチー・ブラックボウモア氏(Dr)(=ハチマヨシヒロ氏)を中心に1990年に結成されたロックバンド。
日本のルーツミュージック(GSや歌謡曲)と英米のルーツミュージック(マージービート、ブルース、R&B etc…)
を同等のテンションで混ぜ合わせた独自の楽曲&サウンド&ライブは日本の音楽シーンに一石どころか三石ぐらいを投じているはず。
※9:イワジー氏(Vo, Ba)、 エンジー氏(Piano)、 馬ハッチ-氏(Dr)(=ハチマヨシヒロ氏)からなるギターレスピアノトリオ。
とってもいい曲を「なにもそこまで」という爆発的な演奏で鳴らす姿にシンパシーを感じ、対バンツアーなどでも随分とお世話に。
※10:ハンモックス
(構成・文:ダイナマイト木戸)