鈴木勲さん

【2022/3/11】

3月10日

 

晴れ。

 

昼過ぎ、リハのため都内へ向かう道中

鈴木勲さんの訃報をSNSで知る。

 

ジャズベース界の “GOD FATHER”

 

89歳だったとのこと。

 

最近までライブで弾く姿を映像でも観ていたので

しばらくぼんやり

そうか、そうなのか

と喪失感。

 

ただただご冥福をお祈りいたします。

 

 

とはいえ、特に面識があったというわけではなく

一方的にこちらが一リスナー、一ファン。

 

なんだっけ?

いつどうやって氏の音に触れたんだったっけ?

 

と回想し、

 

もちろんジャズの名盤紹介などで

『BLOW UP』辺りはよく取り上げられるし

偉大なベーシストとしての名は

こちらが物心つく前から轟き渡っているわけで

耳にする機会はいくらでも。

 

ただ実際に音をナマで感じたのは、

 

あれは、いつだ?

 

と、困った時の歴代スケジュール帳を参照。

 

確か、震災の直前だったような記憶、、、

をもとに辿ってみたら

 

2011年3月6日

 

渋谷の”SARAVAH“というクラブ(?)で

 

『Wax Poetics Japan Compiled Series -King of JP Jazz-』のリリース・パーティ

 

という形でのライブを観た時だった。

 

で、その日のメモ書きには

「震えた。うまくならなきゃダメだ。興奮。コンドウさんと共に」

との記載。

 

そう、偶然居合わせたデザイナーのコンドウコウジロウさんと

「やばかったねー」と終演後、焼き鳥をつつきながら飲んだ。

 

弾いてるフレーズ云々というより

音の速さ、時に薪が爆ぜるような音色で、

そして右手のしなやかさ、

指板上を駆け回る左手のなめらかさ。

 

こんなベースの演奏があるのか、と

それこそ未知の”低音動物”と出会ったような感覚。

 

そんで、たぶんこの辺の映像を観たり。

 

https://www.youtube.com/watch?v=GmPffkzQFx4

 

ベースでメロディーを弾くだけでも

こんな風に独自のリズムや表情を付けられるものなのか。

 

妙なタイミングで音をすべらせるところはもはや特許。

 

 

音源ではコチラ。

 

 

『Sincerely Yours』

鈴木勲&菅野邦彦

 

ピアニスト=菅野邦彦氏とのデュオ、これがまた良くて。

 

最近ひとりライブの時にも披露している

「Moon River」は、この音源のアレンジを参考に

自分なりに消化したもの。

 

アドリブソロにありがちな難解さや勤勉さではない、

音が本能のままに呼吸している、そんなイメージ。

 

 

そして、決定的だったのが

(これまた手帳見て日付を探し出した)

 

2014年5月23日

 

荻窪の “Velvet Sun”にて

鈴木勲 x スガダイロー LIVE

 

即興演奏。

 

音の速さの、応酬。

 

ここでいう”速さ”とは別に速弾き

というわけではなく

瞬間的な、反応し合って、

飛び出してくる音の速さ

みたいなニュアンス

 

終演後に、スガダイローさんに

 

実は前にRSRFのバックステージでお話ししまして、、

 

みたいなことから切り出し、

 

即興ってどんな感じなんですか?

 

というコチラの素朴すぎる問いには

 

「相手の音を聴いているようで、聴いてない」

 

「合わせ過ぎると、恥ずかしいし」

 

「聴いてたらもう遅くって、音をかぶせていくイメージ」

 

というような答え(これもメモに書いてあった)

 

この辺のことは、

のちのインタビューにも言及あり。

 

https://www.artspress.jp/posts/5145328

 

 

ひとしきりダイローさんとお話しした後に、

オマさんが通りがかったので、

 

「彼もベーシストらしいですよ」とダイロー氏

 

するとオマさん、近づいていらして

 

「キミ、ベース弾いてるの?

ベースってのはね、、、難しいんだよ」

 

とニヤリと笑って一言。

 

 

この言葉は、今でも金言

(いや正直、ちょっと忘れかけてたところもあるけど)

 

あ、そうなんだ、難しいんだ!

 

80過ぎても(おそらく当時)

そう思うんだなぁ、やっぱりそうなのかぁ。。。

 

やればやるほど、

むずかしい。

 

時にその難しさに

心が折れそうになったり

どう折り合いをつけたら良いのか

見失ったりすることもありつつ

(深刻にはならないように、気楽さも忘れず)

 

でも、だって

むずかしいんだから。

 

きっとこれからも

オマさんの言葉は、

この胸に生き続けることでしょう。

 

 

で今日は、

 

おかもとえみとナガイケジョー 

 

3/28LIVEへ向け、久々のリハ

 

ここどうだったっけ?

 

と、感触を確かめつつ

新たな曲も試しつつ

 

歌&ベース

 

これがまたシンプルでありながら

むずかしい、だから楽しい。

 

むずかしいことを、かんたんに。深く。

 

これは、井上ひさしさんの言葉、か。

 

 

日々学び、謙虚に、

でも危なっかしい、チャレンジも忘れず

 

ジャズだぜ、パンクだぜ。

 

何度つまづいても

また立ち上がって、試してみる。

 

めげない、くじけない

だってそもそも、

ベースはむずかしいんだから。