12月1-2-3

【2019/12/6】

12月6日 曇り空

 

再び全国行脚へ。
岡山へ向け、バンドワゴンを走らせる。
BGMは今日もジャズ。

 

岡山へ向かう、ということで
内田百閒を読む。
ちょっと読み、瞼を閉じ、眠る。
助手席で起きていられない。
ちょっと読み、また寝る。
その繰り返しで、夜、無事に岡山着。

 

昨日、メルマガの文章とあわせて、書いていたもの。

 

12月5日 冬晴れ

 

朝、急に聴きたくなって
The Velvet Undergroundの1stを。

 

 

「Sunday Morning」のイントロが鳴った瞬間の、
全て許されていくような感覚。
雪がとけて、春の日が差し込んでくるような
冷たさと温かさが同居したあの感触は永久に不滅です。
なんてことを思いながら
“Thursday Morning”
な今日は、久しぶりにたっぷりと寝て
得体の知れない夢をいくつか見たような記憶とともに
一冬の眠りから覚めたかのようなスッキリとした目覚め。

 

一昨日夜のトークライブ終盤から
強大かつ甘美な日本酒低気圧の勢力に飲み込まれ
自身の脳内にしんしんと降り積もった雪は
記録的な深度の積雪で真っ白く記憶を凍結。
よくもこんなに降り積もったものだなぁ、と
ふた晩を経た今になって
高く築かれた雪の壁を見上げるようにして絶句し、
38歳初っ端から自戒の念を漬物石のごとく頭上に乗せて
体内からアルコールへの執着心を搾り取っては
輝ける冬の日に晒して天日干しにしています。
寒風が身にしみる。

 

日曜日のツアー東京公演は、久々の恵比寿リキッドルーム。
全23公演中の18本目。
それでもなお開演前に漂うピリッとした緊張感は、
一音目を鳴らした瞬間の響きと沸き起こる歓声に解きほぐされ
ここからの景色はこんなだったなぁ、と
こちらへと向けられたいい表情の連なりに、気持ちも高揚する。

 

大きな音とその振動の波に揺られていると
時折ふと、ここだけ切り取られた大きな水槽の中にいるような
スーッと静かな水底に落ちていくような不思議な感覚になった。
自分が今、肉体を働かせて楽器を演奏している、という感覚から乖離していくような、
とっぷりと水中に浸かって
その中を光が屈折したり、プクプクと気泡が列を作ったり、
それを見上げながら、静けさの中で体の力がすっと抜け落ちて
ただ目の前に広がる悦とした風景をじっと見つめているような感覚。

 

何回やっても、ライブは色々な感触をプレゼントしてくれる。
贈り物のような時もあるし、振り向きざまに投げつけられるような時もある。
それを取りこぼさないように受け取りながら
その重みや熱や、受け止めた時の手のヒリヒリとした痛みから
少なからず何かを吸収し(あるいは一思いに全部吐き出し)
それじゃまた次行ってみよ、と心機一転、小石がカラカラと鳴り響くみたいに
カラッポになってからまた、始めるのです。
連続した断絶、断絶の連続。

 

翌日は、独演会。
2年ぶりの渋谷は7th Floorにて。

 

前回同様、自分のアンプ=acoustic220を持ち込んだので、
音の安心感。
昼間はとんでもない豪雨で、
都内へ向かう道中DOしたものかと案じたけれど、
夜には天候落ち着き、たくさんのご来場ありがとうございました。

 

今回も色々ありましたが、結果、楽しかった。
ひとりでステージに立ち、ベース一本持って、歌ったり踊ったり、
異様な光景のようにも思いつつ、自分の表現したいことが確かにそこにある。
ひとりは弱く、儚いけど、強くもある。

 

後から聴き返すと、歌外してるなぁ、とか、演奏が早いなぁ、とか
あるけれども、ベースの音はよかった。
コロッとしつつ、ネバっともしてる。
名残惜しそうに、空気に溶けていく感じが良い。
次の予定は未決、でもまたやりましょう。

 

終演後、片付け。
駐車場から車を回し、機材搬出。
と、あれこれしているうちに時計の針は24時を回り、
12月3日。
そのまま真っ直ぐ帰ろうかと思ったけども
なんとなく都内を去るのがまだ名残惜しく
再び車を停めて、街をしばし徘徊しながら
たどり着いたラーメン屋で、トンコツ注入。
38歳初食事。いただきます、ごちそうさま。
そんなこんなを経て、
ミッシェル『ギヤ・ブルーズ』浴びながら
深夜の湾岸線を疾駆し、帰宅。

1998年に体得した感動は今も健在。
アベさんの鬼カッティングは、いつ聴いてもこの胸を切り刻む。
今なお、自分を突き動かす、ロック初期衝動。

 

「ナイフで貫いた オイラの心臓くらえよベイビー」

 

今日は岡山に着いてから、近所のスーパーで惣菜買って
部屋でモグモグ。ちょっとだけ、お酒もチビリチビリ。
心臓じゃないけど、鶏のレバー煮みたいなの、食べたな。
これで明日は安泰、岡山Crazymama 2nd Roomで、お会いしましょう。