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6月27日の授業
ラジオネーム:ペンケンチョップ さん
私は今年の春から高校生になって友達とバンドをやりたいと思ってベースを始めました(友達はギター)。二人とも吹奏楽経験者なので楽譜は読めるのですが、とりあえず今は教則本を買って練習しています。でも教則本に載っている練習フレーズとかは面白くない。練習フレーズすらもまだまだまともに弾けないんですけど…。皆さんはバンドを始めた時にコピーした曲とか、オススメの曲とかはありますか?難しくなく、でも曲を弾けてるっていう感じの曲があれば教えてください。「ちょっとあの子達やるねぇ!」と言われるような通っぽいのとか教えてください。

「なるほど!先生はSCOOBIE DOが初めてやったバンドなんですが、MOBY先生やナガイケ先生は実はSCOOBIE DOの前にもバンドをやっていた事がある、というそんな都市伝説もございますので!」

「都市伝説(笑)」

「一番最初にバンドをやった時はどんな曲をやってたんでしょうか?MOBY先生なんかどうですか?」

「先生は高校の時にですね、その時はまだ鍵盤を弾いていたんですが、えーと、CLASH…」

「CLASH!おお!」
「CLASHの『Safe Europian Home』とかですね…」
「なんか渋いっすねぇ(苦笑)」

「ちょっとカッコいいところから入っちゃってますね!」
「そーなんですよ!後はPOGUESというですね、アイリッシュトラッドの…」
「もぅ全然ストレートじゃない(苦笑)」
「ンフフフ!いきなりマニアな所へ!」
「ええ(笑)完全に偏った趣味嗜好で」

「なーるほどね。ナガイケ先生なんかは?」

「僕は楽器を始めた頃は、ちょうど97年のフジロックがあって、そこにレッチリとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが来てまして。そのベースを結構練習していた覚えがありますね。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかはね、わりとリフ1フレーズで曲が成り立っているんで、1フレーズ覚えると一曲通して合わせられるっていうね」
「あぁそっかそっか」

「なんで結構弾き倒してた覚えがありますね」
「じゃあレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンおススメじゃないですか!」
「でもレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンっていうともう14、5年前になりますからね。時代がねぇ…ってのはありますが」
「でも名曲あるわけでしょ?」
「ありますあります!カッコいいですよ」
「しかもFUNKの基礎があるじゃないですか。レッチリもそうですけどね」
「レッチリそうですね。簡単そうな曲は凄く簡単そう」

「(レッチリの)『Higher Ground』という、スティービー・ワンダーをカバーしている曲は、ベーシストなら誰もが一度は弾いた事がある、ってOKAMOTO'Sのハマ君が言ってました(笑)」
「ハハハハハハ!」
「後輩が言ってたのか!」
「ええ!っていうような曲もありますんでね!」
「なるほどなるほど!マツキ先生はどうですか。これを弾いたら良いんじゃないかっていうようなおススメの曲とかありますか?バンドリーダーの観点からいって」
「そうですねぇ。好きな曲を弾くのが良いと思うんですが、先生なんかはギターを買って最初に弾きたいなと思ったのは、ジュンスカ(ジュン・スカイウォーカーズ)とかZIGGYとか、バンドブームの後半に多感な時期を過ごしていましたから、そういった時期に流行っていたビートパンクバンドのギターを良くコピーしてましたね」
「なーるほど。それはバンドでの練習という事ではなく…」
「個人練でしたね!」

「ハハハハハハ!」

「なんせギターを買ったのは中一なんですけども、初めてバンドを組むのがハタチですからね!」
「ナハハハハ!眠れる獅子(笑)」

「ソロ活動7年間ですから!」
「7年間長かったねぇ!」
「それで始めたのがSCOOBIE DOですから!」
「SCOOBIE DOも結成した当初は三人組で始めましたけど…、わたくしコヤマシュウがベースを弾いて(笑)。で、一番最初にカバーしようって言って合わせた曲は、Apryl Foolっていうバンドの『タンジール』っていう曲と…」
「細野晴臣さんがベースを弾いていたバンドですね」
「後、堺マチャアキさんが昔やってたGSのスパイダースの『真珠の涙』って曲ね。これを結構思い切り頑張って練習しましたよ」
「おおー」
「で、一回スタジオに入って、あ!スッゲー ベースって楽しいな!音を合わせるのって凄い楽しいな!って。下手なりにも耳コピして覚えてきたものを弾けるから楽しいんですよ。ギターとかドラムと合ってるのが。そしたら翌日にリーダーが『やっぱし3人組のバンド辞めて4人組のバンドにしようぜ!だからお前ベース クビな!ボーカルやってくれ!』って」

「アハハハハハ!」
「まぁ7年間ソロ活動してましたからね!私なりに!」
「(笑)かけるものがあったんでしょうね!色々と!」
「求めるものがね!」
「二日と七年間じゃね!」
「こんなベースじゃねぇ!っつってね(笑)」


「ワハハハハハハハ!」
「まぁそれはいいんですけどもね(笑)しっかし、あれとかはどーなんですか?ジャパニーズロックと言えば『レモンティー』!」
「あぁぁ!」



「ダーダダ ダダダダ ダッダーダダーダ!(しばしみんなでリフを口ずさむ)」
「あれもできれば『ヤードバーズ』もできる!(笑)」
「一石二鳥!是非、この『レモンティー』あたりも!これはシーナ&ザ・ロケッツの曲ですけど、日本語のヒジョーに簡単な歌詞だし、ロックのカッコ良いリフでいけるし、ビートも8ビートですしね。これは押さえといてもいいんじゃないかなぁと」
「あと先程でたレッド・ホット・チリペッパーズだったら『Dani Califolnia』という曲。あれわりと簡単で、ドラムもいわゆるファンクマナーだけど普通にやれば出来ると思うんで」
「普通にやれば出来る……上から目線ですね(笑)」
「だから!あれを普通にやるレッチリが凄いんですよ!」
「なるほどね!ってレッチリが凄いって話になってんじゃねぇか!(笑)まぁでもレッチリの曲とかね、やったらかなり通だなって感じになるし、さっき言ってた『レモンティー』とかも『あ、カッコいいじゃん!』って感じにきっとなるし」
「今やってたら相当カッコいいですよね!」
「ね!あとSCOOBIE DOの曲なんかでももしおススメがあれば…」
「そうですねぇ…。最新アルバム(2011年7月 現在)からいくと『太陽と女の子』とか。これはね、わりとシンプルなリフでそれを繰り返してっていう曲で。これを覚えとくと…やり応えあるんじゃないですかねぇ!」
「練習すれば(割と簡単に)出来るレベル?」
「出来るようになると思いますよ」
「しかも最初に『パッパッパッパッパッパ〜』ってね、全員コーラスがありますから」
「みんなでやると楽しいですからね!」
「というわけでね、ペンケンチョップさん!レッチリ、シナロケ、そしてSCOOBIE DO!是非是非、頑張って練習してみてください!この3つやってたら相当ヤバいよね!」
「通だね!って言われちゃいます!」

6月20日の授業
ラジオネーム:アフィルグ さん
私は普段ギターを弾いているのですが、ベースにも興味があったのでベースを買ってみました。ナガイケさんのように華麗なる指弾きをしたいのですが、なかなか上手くいきません。ピックでは普通に弾けるのですが、曲によってはピック弾きだとやりづらい。ファンタジスタであるナガイケ先生、指弾きのコツを教えてください!

「ということなんですけども。ちなみに指弾きとピック弾きっていうのは『おやおや?』と思った方もいるかと思うんですが、これ違いっていうのはどういうことなんでしょうか?」

「えー、ですからピックで弾くのと、指弾きっていうのは基本的に中指と人差し指のこの二本を使って…」

「ツーフィンガーで!」

「(ペースを乱されること無く冷静に)ええ、ツーフィンガーです。それで、指の方が丸い音といいますか、ふくよかな音になりますね。ピックの方が、ガガガガとエイトビートのロックとかをやるのには合っていると思うんですけど」
「エッジが出る感じだよね」
「なるほど!」
「もうちょっとFUNKYなものだったり、ソウルとか、わりと黒っぽいものは指の方が雰囲気はだせるかなと」

「ナガイケ先生はSCOOBIE DOに入った頃から指で弾いてましたよね」
「始めから指でしたね。でもアフィルグさんはピックではもう普通に弾けると仰ってるので!結構もう弾ける方なんでしょうけども」
「そうだね、普段ギターを弾いてるんだけどって」
「ギターを弾いてるとね。まぁベースってのは大体弾けますから」
「でも、確かに指弾きってのはやってみると案外、指の運び方っていうのが『なんだか意味ワカンネェな!』ってなると思うんですよ。ずーっと一本の弦を弾くことはできても、色んな弦を弾く、つまり1弦いって2弦いってってなると難しかったりしてですね」

「ベース、4弦ありますからね」

「ええ、4本ありますから。なのでですね、これ結論から言うと、とにかく身体に馴染むまで指を動かし続けるしかない!っていうのが絶対の練習方法といいますか。なので、なんとなーくTV観てる時とかもとりあえず指を動かして弦を触っとくとかですね。ですから、『実践あるのみ!』と言ってしまえばそういうことかもしれません」
「だからね、もう、人差し指と中指を、今ラジオなんで伝わりづらいかもしれませんけど、こういう感じでね(と言いながら人差し指と中指を交互に前後させる)動かせるように。だから、例えば犬なんかね、撫でる時なんかもだいたい我々5本でいっちゃうじゃないですか?5本で上か、あるいは顎の下をウワァシャシャシャとね。だからこうウワァシャシャシャとやる時でも、人差し指と中指でウリウリウリウリとやると…」

「…やると、あ!この人ベーシストなのかな、なんてね」
「なーるほどね(笑)」
「ジャンケンする時もやたらチョキが多い、とかね!」
「チョキもなんだか動いてるみたいな(笑)街を歩いてても音楽聴きながらなんとなく指2本動かしている人ってのが結構いるんですよ。これはやってんだなベーシストなんだなと。だから、そうやって日頃から意識して。授業中とかもですね、なんとなく授業聞きながら、椅子のヘリなんかを弦にみたてて指を動かし続けるとかですね」
「エアピッキングで!」
「そういうのは大事かなって思いますね。で、(指弾きは)始めのうちは、血豆ができたりですとか結構痛いですから、そういうのも克服して頂いて。後は、中指と人差し指を交互に動かすっていうのが基本なんですけど、だんだんそれも『ここは中指。ここは人差し指』みたいに自分が考えずに弾けるようになってくるんですよ」
「へーーーっ」

「もう、勝手に動くってことだ。指が」
「そうそう。だから、絶対交互に動かさないといけないというわけでもなく。『こういう時は中指でここを弾いて』っていうのがだんだんと自然に出来てくるようになるんで」
「それって結局、自分のやりいいようにやって良いってことですよね?」
「そうそうそう。やりいいようにやって良いんですが、基本的なフォームとしてはですね、皆さん、大抵の方は(人差し指より)中指の方が長いですから。なので、ちょっと内側に手首を入れて人差し指と中指が均等に弦に当たるように。弦にナナメに当てるっていうんですかね、これが基本フォームなんです」
「なるほどなるほど。そうかそうか。(弦と手首を)平行させちゃうと中指の方が長くなっちゃうから」
「そうそう。そうすると音にもバラツキが出てくるし、っていうのがあるんで、ちょっと弦に対してナナメに手首を入れる、で均等に当てるようにするっていうのが基本フォームですね。後はなるべく力まず。力を入れてバキバキやろうとすると、腱鞘炎になったりもすると思うんで、なるべく触れるだけぐらいな感じで動かし続けるっていうのが基本練習かなと思います。レッチリのフリーとか特に外国の方とかは、バキバキバキバキと強く弾いてるように見える、あるいは実際に強く弾いている人もいるかと思うんですが、やはり日本人は線が細いってのがありますから。なるべく優しくね。それでもエレキは十分音がでますから。なので、ひたすら指を動かし続けて頂ければ、結構いけるようにはなるかと思います」
「なるほど!ナガイケ先生もベースを初めて結構経つけれども、やっぱり目に見えて年々上達してるってのは…」
「(若干照れながら)おやおや?そうですか」

「我々も感じたり感じなかったりしてますけど!」

「わはははははは」
「まぁ、まだその程度かな、と(笑)」

「まぁそこはね、ナガイケ先生を信じてやっていただければと思います!アフィルグさん、ギターと一緒にベースもね、指を動かしまくって練習しまくってください!」

6月13日の授業
ラジオネーム:ソラジロウ 君
友達がドラムを買いました。今回、その友達の代わりに質問をさせて頂きます。MOBY先生のようなFUNKYなドラムを叩きたいのですが、FUNKYなドラムを叩く上で一番大事なことはなんですか?上達するにはどういった練習をしたらよいですか?とのことです。どうやら友達は電子ドラムを購入済みのようです。

「まず先生ね。最初にとても嬉しい事があります!このソラジロウね、自分がドラムを始めたわけではない、友達がドラムを始めた、その事をわざわざ報告してね、その悩みをここで解決してその答えを友達にプレゼントしようというね!…」

「身代わりになってね!」

「身代わりじゃないと思いますけど(笑)まぁ友達愛?ジャ○ーズのオーディションなんかにありがちな友達が応募しましたスタイルっていうんですかね!」

「スタイル?なんですかねぇ(苦笑)」
「素晴らしい!ソラジロウに拍手!」



「(これも仕事!と自分に言い聞かせながら)パチパチパチ!」


「というわけでね、MOBY先生のようなFUNKYなドラムを叩きたいってことですから、MOBY先生に答えてもらうんですけども、この放送を聴いてるみんな、中学生、高校生、ロックファンなどなどにね、ひとつ言っておきたいのは、日本でFUNKY DRUMMERを名乗っているドラマーはね一人しかおりません!ってことなんですよ」


「おお!」
「これ誰かっていうとね、MOBY先生だけでございます!」


「ふおお!」
「今日はもう確信をついた、これだ!っていう意見が聞けると思うんでね、では早速、MOBY先生この悩み、お願いします!」
「いやぁ緊張しますねぇ…」

「(笑)してるんですか?」

「しないでくださいよ!(笑)」
「いやぁ初講義なんでね!で、まぁ曲にもよるんですが、まずどんな曲でもですね、ただ叩くのではなくてその曲に対して自らの身を委ねるということですね!」



「(声を揃えて)身を委ねる!」
「そして、実際踊るわけじゃないんですけど踊るように、自分自身でノリを作るつもりで叩く。これまず一点ありますね」
「曲にもう身を委ねちゃう!森本レオさんが言うところの「委ねてごらん」!つまりこれ、岡本レオですね!出ました!頂きました!」
「(笑)ククククッ!委ねてごらん!(笑)」
「そしてですね、あのー」
「フフフッ…(まだ笑っている)」
「ドラムを叩く時に、1,2,3,4と拍子を取りますよね。その時に、イチ、ニ、サン、シ…という風ではなく、イット、ニット、サンット、シット…という風に裏(拍)を取るという」

「おお!つまり今、MOBY先生が言った裏っていうのは、“ト”のとこですよね!」
「そうですそうです。4分だけでなく、8分の拍を考えるという事ですね。つまり “イッ”と“ト”で1拍が出来ていると考えるわけですね!」
「これはいわゆる『すべらない話』で矢野・兵藤の兵藤さんがいうところの「いっと兵!にっと兵とさんと兵とよんと兵とごっと兵!」ではないわけですよね!」
「それでは、ございません!」
「イット、ニット、サンット、シット、ゴット、ロクト、ナナト、ハット!このトが大事だと!ここにFUNKYの秘密があると!」
「はい、これでノリが出てきます。これも先生が初めてレコーディングをしたですね、1996年8月でしたかね、新宿JAMで行われたSCOOBIE DOのレコーディングした時に、エンジニアのハマさんから「君は裏を取りなさい。イット、ニット、サンット、シットとやりなさい。」と教えられて以来、先生はずっとそれを心がけております!」
「なるほど。では、ソラジロウが友達に伝えるには、まとめるとどんな感じになるでしょうか?」
「はい!委ねて 裏を取る!」

「(声を揃えて)委ねて 裏を取る!」
「うーむ(深く頷きながら)」
「委ねて 裏を取る!なかなかこれスキャンダラスな匂いがしてますけどもね!」


「ンムフフフフフ」

「SCOOBIE DOのレコーディングも始まっていますからね、MOBY先生の『イット!ニット!サンット!シット!体操』の録音も時間があればね!是非やれればなんて思ってますけども!というわけで、ソラジロウ君!友達にはまず「委ねて裏とってごらん!」と伝えてあげてください。そっからイット、ニット、サンット、シットについて教えてあげればFUNKYドラムの秘訣が教えてあげれると思いますよ!」

6月6日の授業
ラジオネーム:カボ(大人の女性)
以前バンドマンとお付き合いしていたのですが、「MCで喋れないからドキドキする!」と彼が言っていました。コヤマ先生と同じようには出来ないと思いますが、何かアドバイスがあればお願いします。きっと聞いてみたいバンドマンがたくさんいると思います。

「大きなフェス、ライヴハウスでのライヴ、ホールでのライヴ、インストアライヴなどなどライヴの現場が多様化する中で、MCというのはバンドのカラーを端的に伝えるために存在する非常に重要な要素であると考えられております、昨今の音楽業界ではね。で、そのMCの技術と言うのもね、全世界に6兆個存在すると言われていますので!その中から、紐解いてね、教えていければなと思っているんですけども…」


「はいはい(なんか長くなりそうだなと思いながら)」

「まずね、このカボさんの元カレのお悩み、先生褒めたいのはね、元彼がね、「ドキドキしてる」って事なんですよね。これね、ドキドキしなくなったらロックバンド辞めたほうがいいですから!自分がやりたいことが果たしていいのか/ダメなのか?でもやらねばならない!っていう状況に立たされてドキドキしている、これってロックなわけ!答えの既にあるものに正解を言っていくってのは、それはクイズですから!ロックじゃないわけ!」


「元々正解はない。やってそれを自分で作っていくと!」
「だからね、ドキドキしてるってのは非常にいいことなんです!はいみんな、カボの元カレに拍手!」



「(今日はスムースな進行を心がけようと思いながら)パチパチパチ!」


「で、お悩みなんですけど、この元カレ、ドキドキするってことはまずMCをしたい!っていうことなんだと思います。で、話したいんだけど喋る内容がわからないので不安だ、というお悩みなのではないかと仮定して話を進めますが…」


「はい」
「MCというのは、喋る内容というのは自由、何を喋ってもいいんです。自分が思っていることであれば。ただ、誰がやってもこんな内容であれば問題はないという定石はありますので、」


「それは知りたいですね!」
「それをお教えしたいと思うんですけど。MCにおいて良いMC、無理のないMC、見てて不安にさせないMCっていうのは、みんなが共感できる事を言うMCなんですよ。つまり、MCのテーマって言うのは共感なんです。もちろんバンドマンは音楽が本分
ですから音楽が評価されれば良いんですけども、その音楽を聴いてもらうために、聴いている人たちに対して我々も現代に生きている人間である!ということをゆるりと表明する場、それがMCなんですよ。これが共感につながるわけです!」
「(笑)なるほど!ちょっと真理が!」

「ええ。で、手っ取り早く言えば共感できる事を言えばいいんです。例えば、今日の天気がもの凄く晴れてたら、「今日、最高に晴れてるね!」と一言、言えばいいわけです」


「ほぉぉう」
「するとみんな「あぁ」とは思うでしょ。晴れてるんだから。納得はするわけです。でも、このMCって面白くはないじゃないですか、共感はできるけども」


「うんうん」
「これで全然良いんですけどね。天気のことを言う、で全然良いんですけど、もし面白くしたければ、その場所にいるみんながまだ言葉にはしていなくて、強く思っていないけども、言葉にされることによって初めてみんなが納得できる、そんな共感ポイントをみつけて喋ると、面白いと思われがちです!」
「おおお。例えば?」
「例えばね。これは対バン(※その日のライヴで一緒にライヴをするバンドのこと)がいる場合の方法ですけども、その対バンについて話す!っていうのがありますね。我々SCOOBIE DOの場合なんかですと、我々は『鶴』っていうバンドとよく対バンしますよね。彼らはアフロの三人組なんですよ。で、SCOOBIE DOは四人組。つまり、対バンするとメンバー七人のうち、アフロが四人になってしまうわけです。そんな時はね、MCでこんな風に言うわけです。「本日のライヴ、ステージに上がる七人のうち四人がアフロですけどね!」」


「なるほど」
「今ね、この場で言っても別に何にも面白くないじゃないですか。だけど、『鶴』と対バンしているライヴの現場ではみんなが強く共感できる事なんです!」
「ドッカンドッカンと!」

「『鶴』のファンもいますからね」
「生きた言葉になるわけですね」
「しかも『鶴』が最初にやって、その後、俺達がやるなんて場合だったりしますと、『鶴』の三人がアフロでドン!と出てきてるのをみんな見てますから!で、うちが出てきたときにMOBYだけがアフロっていうのも分かりますから!ここで一番手っ取り早い共感が見つけられると。で、これっていうのはその場でパッと言わないと誰も言葉にしないことじゃないですか。でも、みんななんとなく内心思っているわけです、アフロ多いなと。それが言葉になる事でみんなにバーっと共感の波が拡がるわけです。そーすると、みんな非常に笑いやすい。日本人というのは非常に空気を読む人種ですから、みんなが共感できることを見つけて言葉にすることで笑いやすい状況を作ると!まぁ笑えるMCがいいMCなのか!?ってのもあるんですけど、ひとつの方法としてね」
「で、ちょっとリラックスしたとこなんかで次の曲にいったりすればね」
「初めて観る人でも、「あ、楽しんでいいんじゃん!」というところに到達できるというね。」
「対バンのファンの方も興味を持ってくれますからね」
「言葉になっていなかった共感ポイントを見つけると!」
「こういうのはね、先生の先輩である『怒髪天』の増子先生なんかとても上手いですね!みんなが思っていたけど、言葉になっていない共感ポイントをポーンと見つけますから。後ね、増子先生や『フラワーカンパニーズ』の鈴木圭介先生、それから『ニートビーツ』のMr.PAN先生、そういった先生達がやるひとつの方法として“試し斬り”という方法があります」
「(笑)これまた長くなりそうですね」
「これ言っておきますと、“試し斬り”っていうのはね楽屋で一回試しておくっていうね。例えばさっきの『鶴』とやった場合なんかでも、本番前の楽屋で「今日ちょっと楽屋にアフロ多いなぁ!」なんて言うわけです。そうすると、どっとウケたりするじゃないですか。「あ、今日これいけるな!」と踏むわけです」
「楽屋で一回振っとく!」
「振っとくんです!振っとくんです!増子先生なんかはよくよく聞いてると、楽屋で七つぐらい言います、本番前に!その中で一番ウケたやつをステージで一番最初に言いますから!」


「ガハハハハハハハハハハハ」
「これは上手いです!で、対バンのメンバーが笑うっていう事は、そのバンドのファンの皆さんも同じ認識があるって事ですから!その日の楽屋でウケたものはステージで言ってもウケるというわけなんですよ。まぁこれは6兆個あるテクニックのうちの一つですけどもね!」
「これは相当高度なテクニックですね!(笑)一朝一夕ではなかなか難しいかもですけど!」
「まぁなので!難しいという場合に一言言えばいいのはね、その場にいる人が共感できる、それでバンドマン誰もが本当に思うことである「来てくれてありがとう!」っていうこと、これですよ!」
「感謝感謝!感謝の気持ち!」
「この気持ちを持たずにステージに立ってる人はいませんから!先ほど説明したようなテクニックの使い方がもし分からなかったら、「今日はホントありがとう!サンキュー!また会おうぜ!」って一言、言ってもらえればね。ライヴのMCとしてはまったく問題ないかと思いますよ!」
「いやいや、これはPART.2、PART.3にまだまだ続きそうですね!」

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