FUNKY4 座談会−後編−
FUNKY4座談会 −前編−
マツキタイジロウ 今回一番大きなテーマはいなたさからの脱却。去年の『パラサイティック・ガール』リリース以降、全国各地で80本近いライヴを繰り返してきた中で、俺たちの得意とするヨコノリのグルーヴに更に切れや鋭さが備わるともっとお客さんをロック出来るんじゃないかって思いを今回は形にしたかったんだよね。
ナガイケジョー 特にライヴの現場に来る若いお客さん達はFUNKやルーツミュージックの意味とか以上に、楽曲のスピード感とかテクニックや切れといった機能性にまずは反応することが多くて、その部分は俺も形にしたいと思いました。
マツキタイジロウ 具体的には楽曲がリフで展開していくこと。そしてアンサンブルの無駄を極力省き、たとえBPMが早くなくてもリズムの緊張感と展開のスリルでスピード感を出すこと。更にそのアンサンブルに負けないメロディーと言葉が心地よく浮かんでいること。俺たちが提唱してるRockとFunkの最高沸点『Funk-a-Lismo!』って、ライヴの現場でどれだけお客さんを興奮させて盛り上げて一体感を産み出せるかって部分が一番大事だから、この3つを曲作りの柱として今回はこの手法を更に推し進めたね。
ナガイケジョー それを実現するためにはまず個人個人の技術の向上が必要不可欠なわけで。去年1年のライヴは正に鍛錬に費やされたと言っても過言ではないですね。
MOBY 単に上手な演奏を目指すわけではなく、言わばスクービーっていう刀を研ぎ続けるような日々だったよね。そういう意味では僕も肉体改造の必要性を感じたしね。日に4杯のラーメンを3杯に減らすのはキツかった。
コヤマシュウ 元々が食いすぎだろ! 俺は歌い手としてどんな歌い方、声の出し方が一番曲にはまるのかって所をまずは意識したよね。幸いリーダーが曲を持ってくる時には既に歌詞もメロディーも出来上がった状態だから、それを日に日に鉄壁になっていくアンサンブルにどうぶつけて勝負していくかって部分は想像以上に難しいんだよ。
マツキタイジロウ レコーディングスタジオを再びピースミュージックにしたのは、前回以上にいいサウンドで録れるんじゃないかって確信があったんだよね。エンジニアの中村さんと一緒に音を作っていくっていうスタイルは、アイデアとかミュージシャンとしての力量が相当必要とされるから、ピースで録るってことをイメージしながらライヴやリハに取り組んでいたところもあるよね。
コヤマシュウ 中村さんは作業を後戻りしないからね。とにかく突き進む。時間の制約って部分も勿論あるけどそれ以上に偶然とか奇跡の産物みたいなものが産まれる可能性に重きを置くって感じだね。
MOBY プレイヤーとしても気付かされることいっぱいあるしね。いやあ、今回もドラマーとしてはミッチリ鍛えられましたわ。
ナガイケジョー へこんでるアフロと一緒に狭いスタジオに閉じ込められてるのはある意味きつかった。
マツキタイジロウ
詳細なデータが書き込まれたレコーディングスケジュールを見返しながら、当時のあれやこれやを思い返す FUNKY4。
男4人の座談会は昼過ぎから始まり、その日の深夜にまで及んだ。
マツキタイジロウ 曲が出揃うまでは鉄とか鋼のような無機質で冷たい感じのアルバムになるかと思ってたんだ。
コヤマシュウ 最初のアルバムタイトル候補には『FUNK METALLIC』ってのもあったくらいだもんね。
マツキタイジロウ でも曲も揃ってアレンジも固まってくると、予想に反してかなりポップなアルバムになるって確信したんだよね。こりゃメタリックなだけじゃないなと。
MOBY なんかキラキラしてるなーって。ライヴのときは僕もアフロにスパンコールを振り掛けなきゃならんて2、3日は本気で思ってたもん。
コヤマシュウ 2、3日だけかよ! しかしこのキラキラ感は最初に意図していた部分から更に溢れ出てきたサムシングだったよね。なんかこの景気悪い世の中に対して今俺たちのキラキラ感ってすごく有効なんじゃないかって。世の中の下らなさとか人間のしょうもなさ、哀しさなんかも分かった上で、それでも輝いちゃおうよ、楽しんで生きるしかないんだよっていう。ライヴ中に俺が歌いながら感じてることって正にこれだったのかも知れない。
マツキタイジロウ この前北朝鮮がミサイル打ち上げた日にもライヴやってたんだけど、そんな状況でも俺らのライヴで大騒ぎして大笑いして踊り狂ってるお客さんを見て、あぁ、俺らの音楽は世の中の状況に反比例してんだなってうれしく思ったね。ROCKは世の流れと別次元にいないとだめだから。やっぱり俺らが音を鳴らした瞬間に『真剣に悩んでたのがバカバカしくなった』なんて人がいてくれたら本望だね。
コヤマシュウ ROCKお悩み相談室みたいな音楽やってないからねウチは。とにかくいつでも楽しんでるやつは勝手に輝いちゃってるんだよ。
マツキタイジロウ そんなキラキラ感を今回も我らがファンクでドープなデザイナー、コンドウコウジロウ氏がジャケットで表現してくれたよね。
MOBY コンドウさんのデザインはTシャツにしてもCDジャケットにしても、斬新なインパクトとアナログ的な柔らかさが同居してるから、うちらの音を視覚的にバッチリ表現してくれるんだよね。僕のアフロヘアなんて渋谷での待ち合わせの目印に使えるのが限界ってくらいなのに。
ナガイケジョー 誰も使ってないですから。しかし今回のジャケットはキラキラ感とアナログ感のバランスをホントによく表現してくれましたよね。
MOBY ホント、皆で送られてきたジャケット見た瞬間『マンセー!』って叫んだもんね。
コヤマシュウ そりゃお前だけだろ、両手上げたまま全力でダッシュしたのは! でもその位今回もグッとくるジャケを作ってくれたよね。
マツキタイジロウ やっぱりインパクトってのは大事で今回『MIGHTY SWING』をリード曲にしようって決めたと同時にPVをどうするか全員で久々のミーティングに入ったよね。
MOBY ま、ミーティングっていう名の飲み会ですけど。
コヤマシュウ でも珍しく皆アイデアが色々出て、散々考えた挙句、半ばノイローゼ的にホットドッグの早食いってアイデアに着地したよね。
MOBY ホント『シャベリ場』かってくらいみんな真剣に考えたからね。いつもPVは学生時代の仲間の外山監督に撮ってもらってるから、今回もアイデアをぶつけるだけでした。
マツキタイジロウ ホットドッグの早食いは1回勝負だからね。みんな朝から飯を抜いて現場に集合して。
ナガイケジョー 用意された50本のホットドッグを見たときは、意外に『少ないんじゃない?』『時間以内に食べきっちゃうんじゃない?』なんて内心思ってたけど。
コヤマシュウ 一口食べた瞬間口の中の水分を全部パンに持っていかれて。とてもじゃないけど全部なんて食べきれない。PVよく見ると始まってすぐに全員が『これ食べきるの絶対無理』って言ってるのが分かるよ。
マツキタイジロウ このPVと同じくらいバカバカしい居眠り国会アーティスト写真もこの飲み会のアイデアだよね。
コヤマシュウ コンドウさんが議員バッヂとか精巧に作ってくれちゃうし、シバエリがバッチリの写真撮っちゃうしで。まあシバエリはライヴでもスタジオでもバッチリの仕事しかしないんだけどね。ここまで俺らの悪乗りに付き合ってくれてうれしいよ。
マツキタイジロウ 撮影スタジオでは何度も名札の位置を微調整して完璧なバカバカしさを目指したからね。今回のアルバムもいろんな人の閃きとかアイデアを頂いて出来上がってるってことだね。
MOBY そんなキラキラした意味も込めて『SPARKLE』ってタイトルは秀逸だなと。
ナガイケジョー オカモトさんはラーメンの食べすぎで顔がギラギラですけどね。
(編集&撮影/チャンプレコードスタッフ)
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