Scoobie Do最新アルバム『SPARKLE』 2009年6月17日(水)発売!!!
収録曲
01. JUMP TRAIN 07. B型のマイガール
02. MIGHTY SWING 08. 遺伝子狂騒曲
03. BOOGIE DOWN 09. C.H.E.R.R.Y.
04. 砂のお城 10. ORANGE
05. ガレキの上のジェットコースター 11. OH YEAH! OH YEAH! OH YEAH!
06. 彼女のプレイメイト 12. LONELY STEPPERS
2009.06.17(水)リリース
HICC-2808 ¥2,625(tax in)
発売元:CHAMP RECORDS 販売元:HIGH WAVE


 アルバム『SPARKLE』
 ヴォーカルのコヤマシュウ、ギターのマツキタイジロウ、ベースのナガイケジョー、ドラムのオカモト “MOBY” タクヤ。ファンキーな4つの個性が電撃的な感情をばちばちと散らしながらタイトに溶接されたスクービードゥーというバンドの固く黒光りする個性。2006年に自主レーベル、CHAMP RECORDS を設立して以来、彼らはその一物を武器に、150回以上に渡ってライヴを繰り返してきた。飛び散る汗、そして、縦に、横にぶつかり合う腰と腰。とろけるような前戯から熱く激しい本番、そして絶え間ない絶頂が誘うファンク宇宙のファンタジーへ。前作『パラサイティック・ガール』において、ニューウェイヴやジャーマン・ロック、ノイズ・ミュージックの影響を受けたオルタナティヴ・ファンクを展開する一方、人間に寄生した宇宙人の視点から13曲の物語を紡ぐことで通常の軌道から逸脱してみせた4人乗りのスペースシップがいよいよ1年2ヶ月ぶりの帰還を果たす。
 
 その手に携えられているのは、ピカピカのニュー・アルバム、その名も『SPARKLE』。前作同様、ゆらゆら帝国を手掛ける中村宗一郎氏をエンジニアに迎え、彼のスタジオである調布の PEACEMUSIC にてレコーディングを敢行した本作は、敷き詰められたリフとリズムのレールを「JUMP TRAIN」が爽快なスピードで走ってゆく。この曲が示唆している“点であるリフとリズムの絶え間ない連続が描く線的な軌跡”というのは、ロックンロールのガイド・ラインであり、ファンク・ミュージックの生命線である。つまり、スクービードゥはこの作品において基本に立ち返りながら、前へと歩みを進めているというわけだ。ここ数年来の彼らが定型のフォーマットを崩しにかかるオルタナティヴなモードにあったことを考えると、このアルバムはスクービードゥにとって一つの明確な転換点となる重要な作品と言えるだろう。

 そして、巻き戻しながら推し進めるという相反する要素の同居に象徴される“コントラスト”はアルバムに通底するテーマをも物語っている。音数を徹底的に削ぎ落とし、1曲に数曲分の旨味を凝縮しながら、引き締めた演奏をサビで一気に解放する展開。あるいは鋼のようなバンド・サウンドとそこで浮遊するソウルフルなメロディ。はたまた、灰色の日常と『SPARKLE』というタイトルが指し示す光り輝く音楽のマジック。そうした対比はロックとファンク/ソウルをポップに繋いでみせるスクービードゥというバンドの個性を明確に際立たせている。そのポップ感を表現するために、かつての彼らはホーンやキーボードを加えることが多かったが、ここでの彼らはあくまで4人の演奏から抽出するというアプローチを選択。繰り返されたライヴによって、各人のスキルが大幅に上がったこともあり、本作のポップ感はその手でつかめるほどのずっしりした実感がある。

 そのプレイが時にリンゴ・スター的とも評されていたドラムのオカモ ト“MOBY” タクヤは JB'S の名ドラマーであるクライド・スタブルフィールドに一歩近づいた無駄のないドラミングでバンドに推進力を与えると、プレイヤーとしての評価が高まっているナガイケジョーはうねるようなベースラインでフレッシュな息吹を吹き込み、マツキタイジロウは厳選されたギター・リフを自由自在に繰り出しながら、アッパーに、そしてメロウに楽曲をコントロールしていく。そして、ヴォーカルのコヤマシュウはほどけることのない金属塊のような演奏を土台に、艶を増した歌声を気持ち良く泳がせていて、ヴォーカルとバンド・サウンドのバランスや温度も絶妙なものになっている。

 また、そうした体制で生み出されているからこそ、リフとリズムの組み合わせという極めてシンプルな作りでありながら、“SPARKLE” 感を意図したという本作の楽曲はそのヴァリエーションが実に豊かでカラフルだ。ストレートに突き抜けてゆくアルバムのリード・トラック「MIGHTY SWING」をはじめとして、スクービー版「MY EVER CHANGING MOODS」と言えそうな「砂のお城」や久々の 60'S ソウル・マナーがフレッシュに響く「B型のマイガール」のような曲があるかと思えば、インダストリアルな音処理が施されたメタリック・ファンク「C.H.E.R.R.Y.」やユース・パンク・アンセム「ORANGE」、ニューウェイヴとカリプソが出会った「OH YEAH! OH YEAH! OH! YEAH!」といったチャレンジングな楽曲も強い輝きを放っている。果たして彼らが照らし出しているものは何なのか? そのことは作中で明言されていないが、だからこそ、聴く者の思いをプリズムのように反射させ、それぞれのヴィジョンを心ゆくまで楽しんで頂きたい。

音楽ライター 小野田雄