静寂とは

【2019/4/12】

4月11日

 

昨日の冷たい雨から一転し、晴天。しかし、風強い。寒い。

すっかり伸びてしまった髪がボサボサになる。切ろう。

 

過日、ちょっと時間を潰すつもりで、本屋へ。

 

ツーフロアに渡ってあらゆるジャンルの本が整然と立ち並ぶ大型書店にて、コツ、コツ、とゆっくり靴底を鳴らしながら、さも具体的な興味の対象が今眼前にあるかのごとく棚と棚の間を徘徊し、気になる本を見つけては手にとってみてパラパラとめくり、戻し、また手にとってはパラパラ、テニトッテハパラパラを繰り返している時の、この関心と無関心の狭間で揺れ動く我が知的好奇心の所在を手探りしている感覚が、なんとも心地よくて、好き。結果的に読むことはなくとも、ふーん、こんな本あるんだ、いつか読んでみよっと、の連続が私の読書体験です(つまり、あまり読んでいない)。

 

そんな、自分の中の静けさと対話する時間の中で、ふと目に飛び込んできた本の背表紙。

 

『静寂とは』

(英題 ”SILENCE : In the Age of Noise” )

 

あーはいはい、こういうの好きなタイプです、で、誰が書いてんの?

と、ここで〇〇宗□□派僧侶著、とかだとまあまあ普通な感じ(それも全然いいのですけども)

見れば著者は、アーリング・カッゲ(Erling Kagge)というノルウェーの冒険家。

南極点・北極点・エベレスト山頂という三極点に世界で初めて到達したことで有名、とのこと。

ほー冒険家とな、しかも雪山の、なんだか深そうだなー

という浅過ぎる考えから、出会いと直感は大事にするタイプ、レジへとゴーで買ってみた。

 

内容に関して端的にいえば、なんやかんやとノイズだらけの現代社会において、一度そういったものを遮断して、自分の中の静寂と向き合おうぜ、といったようなこと。

まだサラッと読んだだけなので深いとこまでの言及は避けます、ただ面白いのはこうやって偶然手にした本から得たインスパイアのようなものが、短い時間の間にザザザと寄せては返す波のごとくに、今こそこの気分が満潮を迎える時だったのですよーと言わんがごとくにあちらからもこちらからも囁きかけてくる、例えば、先述の「ふーん、こんな本あるんだ、いつか読んでみよっと」の代表格であったところの本でやっとこさ最近手にとった細野晴臣さん著『とまっていた時計がまたうごきはじめた』の中で「自分に向かっていかないと音楽はできない。(中略)大衆は不安の固まりだしね、ぼくにとっては」という箇所を読んだ時に、あ、細野さんもカッゲさんと同じようなこと考えてたんだなぁ、と音楽家と冒険家の連関に唸ってみたり、例えば、4月7日讀賣新聞朝刊で、南極大陸の”白瀬ルート”踏破を夢見て今は浅草で人力車を引く36歳男性の話が紹介されたコラムを目にして、ほーまた南極ですか、賑わってますね南極、とまだ見ぬ雪と氷の大地へと想いを馳せてみたところ、昨今一気に凍えるような冬の寒さが逆戻りしたり。

 

点と点がスーッと繋がった時に、パーッと視界が開ける感じ。イイネ。

”ノイズだらけのアナログレコード回れば本気モード” by RHYMESTER

その本気モード突入で、5500万光年離れたブラックホールの撮影に成功した、ような痛快さとともに訪れる、その存在を証明しちゃったことによって5500万光年という茫漠すぎる距離感と規模を眼の前にして畏れを抱かざるを得ない感じ、ここへきて最早自分が何を言っているのかもよくわからなくなってきている感じ、”気にしねぇトチろうと”。だってしょうがない、自分の体の65億倍の質量を持っているのだ、頭蓋の中の脳内ホールは。

 

 

今とても静か。

音楽もテレビも付けず、通り過ぎていく車の音だけが断続的に。

静けさの中に身を置くと、近しいのは耳鳴り。

耳元で鳴る音たち、この音はなんと表現すれば良いのだろう。

空気の音?

空気が鼓膜に触れる音?

内耳と外耳のハザマで揺れ動く空気たちの求愛の声?

ここ一二年DOにも気になるので去る忘月忘日、耳鼻科で検診。

聴覚は特に問題なし(ほっ)、むしろ一時よりよくなってた。

先生曰く、

気になるなら、なるべく寝る時も音楽かけたりして、静けさの中に身を置かないことですねぇ。

っていやいや、”Silence is a rhythm, too”でございます先生、置きます、置かせてください、身を、静けさの中に。

悲しい耳鳴り。それはスパルタローカルズ。

先日見たスパルタさんのライブ、良かったなぁ。ピース。

 

そうそう、ここのところ、観に行ったライブたくさん。

そこら辺のこと、次回はちょびちょびと触れようかな。

 

”バイバイサヨナラ”

大好きな「FLy」は、あの日聴けなかった。

聴けなかった、という心の静けさがまた、いいんだけども。